中三病

水谷一志

第1話 中三病

 一

俺はいわゆる、「中三病」だ。

つまり、中二病の上を行く存在だ。


ところで皆さんは、「中二病」という言葉を知っているだろうか?

これはネット辞書の説明によると、「中学2年生頃の思春期に見られる、背伸びしがちな言動」のことである。

具体的にはこれから見ていくが、とにかく俺はことごとく中二病の上をいっている。


例えば、俺は洋楽なんかよりも、今売れているアイドルソングが好きだ。

周りの中二病の人間は、「アイドルなんてダサい。俺は洋楽が好きだ。」と言っている奴もいるが、俺にしてみればそっちの方がダサい。

なぜなら俺は中三病、中二病の奴らの反対、いや上をいく存在だからだ。


他にも、中二病の奴らはカッコつけてコーヒーなんか飲んでいるが、俺はそれとは逆にオレンジジュースを飲む。何が「大人の世界」だ!俺はその上を行っている。

あと俺は流行りのバンドを「売れる前から知っていた」とは決して言わない。あくまでミーハーにこだわる。中二病の奴らはカッコつけて自分は「音楽通」だと語るが、俺はそんな態度が「中二病」っぽくてダサいと感じる。


あと詳しく知ってもいないのに、カッコつけて「反米」を気取る中二病の奴らがいる。そいつらは、「アメリカって汚ねえよな。」と平然と言う。

そして俺は思うのだ。

『こいつら、何もアメリカのこと分かってねえよな。』

と。

…確かに俺も勉強不足ではあるが、カッコつけて反米を気取ったりはしない。

俺は基本的には「親米」路線だ。


そんな中、俺は中二病のとあるクラスメイトたちに言われる。

「お前さ、はっきり言ってダセえよ。」

俺はそのクラスメイトたちの言葉に怒り、こう言い返す。

「は?お前らは中二病だろ?そっちの方がダセえよ!

そうお前らは中二病。でも俺はその逆、上を行く【中三病】なんだからな!」

するとその場から失笑が漏れる。

「ハハハハハハ!」

「…何がおかしいんだよ?」

「お前、俺らのこと【中二病】だと思ってんの?」

「…違うのかよ。」

「お前やっぱりダセえな!

俺らは【中三病】の上、逆を行く、【高一病】なんだよ!」  (終)

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中三病 水谷一志 @baker_km

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