第5話 集合する者たち

「それでは!リュウの初検挙を祝して~!カンパーイ!」


特別指令ミッションの翌日。

呼び出されたかと思えば視界に写る、社長室の机に突っ伏すダメ社長の姿。

―そして昼間っからなに飲んでんだこの人。


「っプハ~!やっぱし祝いのコーラはうまいねぇ~!成人式の後の飲み会で飲んだチューハイよか100倍うまいねぇ~!」


―その歳になってチューハイ<コーラかよ。


「おいリュウ。わたしは永遠の17歳だ。そう。え・い・え・ん・の。17歳だ。」


―オイオイ。


「オレが身体バラバラにまでなって頑張ったのに、労いがそれって・・・(´・ω・`)」


「でもそっち再生出来るじゃん!ズルいぞそのインチキ能力スキル!まあ結果オーライってことで!ささ、ググイッといっちゃいな!」


 「(無言のため息)」


 ―覚吏さとりが突き出したコーラを受け取り、その通りにしてググいっといったら、案の定炭酸でむせ、それを笑った覚吏さとりにバックブリーカーでもかけてやった。



「・・・それはそうと、今日からリュウには特別なトコに移ってほしい。」


「なんですかぁ?異動ですかい?」

「Exactly!That's right!(訳;その通り!それな!)」


―ムカつく・・・・(#^ω^)


「正確には配属と言ったほうが正しいかな。ホラ、リュウは3年間謹慎処分だったろ?」

「・・・・まあな。」

「そのハンディキャップからいきなり異能犯罪者モンスターを検挙!これは紛れもなく今世紀最大の快挙さ!」



「―いいや。姉ちゃんのおかげさ。平常心で挑めたのは覚吏さとり姉ちゃんのおかげだよ。オレだけのチカラじゃない。」


そりゃあ、そうかもしんないけどさ・・・・


「リュウ・・・・・・・大人になったね・・・・・!覚吏さとり感激・・・・!((ΩnΩ))」

「いーから話進めろ。」

「・・・・オッホン。そんなリュウにさらなる活躍を願い、とある特殊係を設立した。」

「へぇー(・ω・)」

「・・・なんだその反応は・・・・まぁいい。それでな?そいつらはチョーットワケありーなメンバーなんだよッ。」

「ほうほう。(・ω・)」

「だからなんだよその・・・・もういいや、めんどくさい。まあ、リュウならきっと親身になって絆をアゲアゲ⤴⤴してドラマティックなフレンズにしてくれるだろう!」


「最優先で理解したのが、覚吏さとりがやっぱウザイってことで、会話から要約すると、オレみたいな奴らとチームになれってことか?」


「まあそんな感じだ。」


ーウザイのは否定しないのか。


「んじゃあその監督役もやっぱり覚吏さとりが・・・?」


「チッチッチー。違うんだなーこれが。」


「じゃあ誰が・・・・?」

「まあ行けば分かる。案内はしてやる。」


―オレは覚吏さとりに誘われるがままその場所に向かった。








―おい、アイツあの新人だろ?


―ああ、そのはずだ。


―あり得るはずがない、だってただの無能力者プレーン特別指令ミッションだろ?


―ああ、それも前線の先輩方が追いかけていた指名手配犯だ。


―それを一人で検挙したんだろ?絶対何かあるぞ!?


「はいはーい!影口叩いてないで、職務に戻った戻った!」


「しゃ、社長!?」

「「す、すみませんでしたー!!!」」


このあいだのアイツらが、覚吏さとりの一声で、すぐさま散っていった。


「まったく・・・ろくに勤務しないくせによく言うよ。」

「ま、オレは半年間ずっと無能力者プレーンとして勤務してたからな。単純な基礎能力スペックも持ち合わせてない怠け者には、そんな感じに写るだろうさ。」

「いうね~」

「ああ。言うさ。」


―アハハハハ・・・・


雑談をしつつ、オレ達はある場所へ向かった。


そして・・・・


「おまたせ!ここが、君が配属される、いわばシェアルームだ!」


「ここって・・・・」


―オレは知っていた。その場所がどこなのかを。


「オレの謹慎時代の時の個室じゃねーか!!!!」


本社の傍に倉庫として配置されている、かつてのマイルーム。謹慎時代の隠し部屋だ。


「ハァ!?よりにもよってここかよ!?」


―嗚呼、さようなら。オレの楽園myスイートルーム。さようなら、オレの絶対的守護領域パーフェクトプライベートテリトリー・・・・.˚‧º·(ฅωฅ*)‧º·˚.


「だってアレ以来誰も使ってなかったでしょ?むしろリュウがこなきゃアソコ消してたんだよ?有効活用されて一石二鳥だな!わたしったら流石わたしだな!」


―お前はオレを怒らせた・・・・!覚悟でもしていろ。木偶の棒・・・・・!!


「おお、怖い怖い。^^」


―コイツ・・・・・・・・!(#^ω^)ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・!!!!


本気でブチのめそうかと思ったその時・・・


―ドォン!!


「おい!スゲー殺気を感じたが、まさか異能犯罪者モンスターか!?おっし、さっさと検挙して・・・って、社長!?」


突然金髪の青年が飛び出してきた。


「おお、エリック。相変わらずだな。元気してるか?」

「はい社長!・・・・ところでそのなまっちろいのは?」

「ああ、詳しいことは中で話すよ。ささ、戻った戻った。」


「うっす!それじゃまた!」


そして、その男が戻った時、どうしようもない気持ちになり・・・


「。゚( ゚இωஇ゚)゚。あんまりだ・・・・こんなの、あんまりだろ・・・・・!オレの楽園を返せバカヤロォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!」


―魂の慟哭と咆哮が轟いた。


「えぇ・・・・リュウがそこまで気にいってたなんて・・・・。」

「お前はなんも分かってない!!!3年間ずっとあそこで過ごしてきたオレの気持ちを!」

「そ、そんなにぃ・・・?」

「ああそうだ!施設は充実していた!書籍も、運動器具や日常備品も、サウナ室やシャワールームも!何気に温水プールまで!気にいってたんだぞ!覚吏さとりが造ったんだぞ!それをいとも簡単に廃棄処分とか、どんだけリッチなんだお前は!?覚吏さとりがオレのために用意してくれたあの楽園を、オレが復帰しただけでポイとか、お前には人の心ってのがないのかてめえには!!!!」

「いやぁww無駄に広かったからさぁww。たったの12億程度だろう?それぐらいいいじゃあないか。」

「てめえふざけんなよ!?12億だァ!?一般人なら絶対に届きもしないであろう額を、『12億』だァ!?いくら社長兼お嬢様だからって職権乱用にも程があるだろ!てめえそれでも立派な警官か!?ノブレス・オブリージュはどうした!?上に立つなら、それ相応の責務ってのがあるだろ!いい加減にしろよKY覚吏さとりゴラアアア!!!」


このままじゃあ、オレは憤死しそうな勢いだった。


―その時だった。救世主が現れたのは。


「―彼の言う通りだ。少しは自重したまえよ、雛沢警部補。」


「そんなこと言ったって所詮トレーニングルームみたいなもんだっt・・・・・・・・・・え?」


特別指令ミッションを正式勤務初日でこなした彼は、最近の成果が不明確な君よりも遥かに発言権がある。正直に言うと、僕自身も君を持て余していたところなんだ。うーん・・・今月は勤務態度に問題ありと言うことで、減給処分にするとしよう。」


「お、お、おおおおおおお、―大葉おおば警視!?」


「大葉警視というと・・・・?」


「先日の特別指令ミッションの依頼主さ。葛飾警察署長、大葉啓二おおばけいじその人だよ。壱原琉輝君。」


「あ、貴方が、大葉警視!?」


―その人は、穏やかだった。まるで、森の植物のように穏やかで、柔らかだった。


「そう。まあなんだ。積もる話は君の元謹慎室・・・もとい、憩いの場でしよう。」


「そんな待って!待ってください署長!減給だけはご勘弁を!」


「さっきも彼が言っただろう。君は実家のお金で好き放題し過ぎだ。もっと節制というのを覚えたほうがいい。」


「グヌヌヌヌ・・・・!」


「そういやぁ知ってますかぁ~社長?タロットカードの「節制」の意味を。^^」


「知っているとも!正位置が健康や道徳などの安定した生活を送れるって暗示だろう!?」

「んじゃぁ、はぁ~?^^」

「逆位置は混沌。暴走。過信。傲慢。泥沼。病気。不道徳。不節制。不摂生。不安定。感情的。悲観的。中途半端。昼夜逆転。体調不良。節度をなくす。信用を失う。だろう!?なめんなよわたしを!」

「まさに、今の社長と同じですねぇ~^^」

「(#^ω^)リュウ・・・・・・・!」


「壱原君。逆撫でするような発言は控えたほうがいい。犯人が逆上して被害が悪化する可能性があるからね。」

「す、すんません・・・・(´・ω・`)今後からは・・・発言を慎みます。」

「己の過ちをすぐに認めることが出来るのは、人間としての美点だと僕は思う。今後からも気を付けたまえよ。」

「はい。大葉警視。」


「(・・・・彼の息子が問題を起こしたと聞いた時はどうなることかと思ったけど・・・・この様子なら大丈夫そうね。)」

「・・・・・どうしました?」


「ううん、何でもないよ。さあ、君の元謹慎待機部屋・・・もとい、かつてのスイートルームにね。」


―そして、半年ちょっとぶりの我が家に向かった。


「ちょっとちょっとぉ!わたしを置いてけぼりにするなぁー!保護者はわたしだぞー!!」


―騒いではついていく面倒な偽姉《あね》も一緒に。







「さあ、おかえりなさい。そしてようこそ。葛飾特異班ギルド、SEED《シード》。その活動拠点へ。」

「うわぁ・・・・・」


―それは想像を絶するほど・・・・『』。

「・・・なんすかこれ。」

玄関ドア、ダイニングキッチン、その他諸々の各所が、見事に散らかっていた。


「アハハ・・・まあこれから仲良くしてくれると嬉しいかなーって・・・・」

「いえ、言語道断です。まず整理整頓清掃活動からです。」

「え?・・・」

―アチャーとばかりに落ち込む社長さとりをよそに、オレはかつての住まいを整理&清掃に取り掛かる。

「これから緊急清掃活動を始めます。急ぎ他のメンバーを招集してください。」

「そ、それは・・・」

「勤務態度は日常生活の態度にも現れます。これはコミュニケーションであり、レクリエーションなんですから。」

「わ、分かった・・・・・(はあ・・・・細かいところも、に似ちゃったわねぇ・・・)」


【SEED各員に連絡事項。大至急多目的室に集合してください。繰り返します・・】


新たに搭載されたAIルームサポーターが、他のメンバーを招集させる。


そして、しばらくした後・・・・


「―全員、揃いましたね?」

「う、うん・・・・まあね。」

「すんません署長、リュウは神経質というか、きれい好きというか・・・・・・・外見は良いんですけどね・・・まずは挨拶からにしましょう?」

「そ、そうだね・・・・じゃあ、紹介するよ。彼が、ここに所属することになった、壱原琉輝いちはらりゅうき君。そして、皆知っているかもしれないけど、僕がこの特異班ギルドの監督役兼最高責任者の、大葉啓二おおばけいじだ。さあ、琉輝君。挨拶をお願い。」


「―壱原琉輝です。年齢は21。好きなことは読書、家事、清掃。まだまだ未熟な身ではありますが、これからよろしくお願いします。」


888888888・・・・・


「ありがとう、琉輝りゅうき君。何か、質問はあるかな?」

「はい!( `・ω・)ノ」

「じゃあ、エリック君。」

「アンタ、さっきのだよな!」

「ええ、まあ・・・」

「社長とはどういう仲なんだ!?後、スキルも教えてくれ!」

「そうですね・・・・皆さんの能力スキルがどういったものかは分からないので、性能の詳細は分かりません。近いうちに訓練等で見せてください。互いの能力スキルを知ることで、より連携が取れると思うので。・・・・後、社長とは昔からの腐れ縁で、近所付き合いという関係です。」

「へぇー!そうなのかー!!社長!そこんとこどうすか!?」

「Exactly(その通り)!わたしとリュウは昔からの仲ッ!離れ離れになっても、織姫と彦星のように、いつかは巡り合う!そんな仲さ!」

「適当なことぬかさないでください怒りますよ?」

「(´・ω・`)」

「そうか!ありがとな!あ、俺の名前は星宙ほしぞらエリック!エリックで結構だぜ!オレの能力スキル風乗者ウィンドライダー!」

風乗者ウィンドライダー?」

「まっ、見ててな!」


そしてエリックは突然宙に浮き始めた。

「こんな感じで文字通り、風に乗って飛ぶことができるんだ!」

「ほぉー・・・・」

「ついでに・・・・・・テヤァ!」


エリックが拳を握りしめ、それを広げ突き出した。すると・・・なんということだ。こっちに突風が来た。

「風を凝縮して、空気砲のように打ち出せるんだ!まあ、これは外でやるほうが威力が出るんだけどな。」


「なるほど。だいたい分かりました。」


 ―星宙エリック。さっきの金髪の男がエリックということか。


(第一印象としては誰にも壁を作らない、フランクな奴だな。)


(・・・年齢も聞いておくか。)


年齢トシは幾つですか?」

「そうだなぁ・・・今年で二十歳だな。」

「勤務歴は?」

「2年目だ。」


(・・・・まだまだ経験は浅そうだな。積極的にサポートが必要になるな。)


「ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。」

「おう!かたっ苦しいのは苦手だからよ、オレに対しては力を抜いてもいいぜ!」

「分かった。そろそろ次に移りたいんだが・・・・」

「おお、そうだった!んじゃ、また話そうぜ!琉輝りゅうき!」


(なんというか・・・嵐のような男だな。)


「エリック君、ありがとう。他には誰かいないかな?」


「は~い。(U ≡ω≡)ノ」


フードを被った少女が挙手した。


「はい、風環ふうわ君。」


「お昼寝って好き~?」


 ―?いきなり何を・・・・


「アタシね~好きだよ~。お昼寝~。」

「そ、そうですか・・・・」


「アタシ、馬場風環。風環って呼んでね~。」

「よ・・よろしくお願いします。風環さん。」

「よろしく~、琉輝君~。」


(―何を考えているんだ?この女の子は・・・・?)


(まったくやる気を感じられない。ふざけてるのか?)


「い、一応年齢と勤務歴を聞かせてください。」


「う~ん。今年入ったばっかりで、今年で19かな~」


(本当のド素人じゃないか!?何を考えているんだ、あの馬鹿おんなは!?)


「あ・・・・ありがとうございます。風環さん・・・・」

「これからもよろしく~。」


「うん。ありがとう。風環君。・・・・あれ?奈々君は何かないのかい?」


「―その必要はありません。その内この男の本音を聞き出すので。」


(・・・・・・本音?)


「―稲志田奈々いなしだななと言います。宜しくお願い致します。壱原琉輝さん。」

「よ・・・宜しくお願い致します稲志田さん・・・・」


(―変だな・・・・・何故かオレはコイツを?)


「さて・・・・そろそろだが琉輝君から言いたいことがあるそうだ。」


「なんでしょうか。」

「どうした?」

「な~に~?」


「皆さん・・・・・・清掃作業です。団結力は清掃活動から。勤務態度は生活態度から。このままじゃ生活感はおろか、チームワークにも支障をきたす可能性があります。これから徹底的に綺麗にします。・・・・・・・『拒否権』はありません。」


「分かりました。・・・・・・・え?」

「うっしゃ!全力で綺麗にするぜ!」

「え~めんどくさ~い。」


こうして、混雑したかつてのマイルームを、清潔感あるシェアルームにしたのだった。


「ホラ!!!!そこさぼらない!!!!!」


「ひえ~・・・・・。」

「ウオオオオオオオオオオ!!!!」

「なんでこんなことに・・・・・!」


        これからが、本格的な仕事だ。

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