第5話 夏の大三角

 すごくすごく後悔した。

 悔しくて、涙が出てくる。




 どうしてあの時言わなかったんだよって思ってる。


 どうしてあの時ついていきますって言わなかったんだよ。



 待ってるだけじゃ、だめなんだよ。



 よく見たことある。恋愛小説やら漫画やらで、後悔に駆られる主人公を。

 でも正直、ついていったところで何になるんだ。

 私に何ができたんだろって。












 ごめんね。

























 交通事故にあった、って科学館に着いたら伝えられた。





 あの子が。



 嬉々として、星を語っていたあの子が、死んだって。



























 映ってるんだ。

 暗い暗い瞼に、あの星座たちが。



 いや違うな。



 耳だ。

 耳から離れないんだ。






 あの人の声が。



 あの人の、楽しそうに話す声が。

































「お客様、終わりましたよ。プラネタリウム」

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プラネタリウムの君の声 奴尾 @yamanakatooru

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