〔とある空間軸とある時間軸の物語〕

西暦2096年の機械文明

 西暦2096年というのは、人類の科学文明において最大級の発明が2つあった年と言われている。



 その最大級の発見のうちの1つは、タイムマシーンの発明であった!


 ちなみに西暦2096年においては、ほとんどの科学者サイエンティストは"2つのグローバル企業グループ"のうちのどちらかに所属していた。


 研究とは多額の費用を必要とする。巨大企業の庇護を受けなければ研究などできようはずもないのである。


 その2つのグローバル企業グループとは《AP社グループ》と《MGL社グループ》である。


 タイムマシーンを発明したのは《AP社グループ》傘下の小さな会社であった。そのためその小さな会社は、その後 《AP社グループ》内でもかなりの勢力を持つ会社へと成長していく。


 ただし、この西暦2096年において、そのタイムマシーンはがあり、どこかの時代のどこかの土地に着陸することは困難でありかつ危険であった。


 それゆえ、タイムトラベルを行ったとしても高度10,000メートルを保つことが《時間航空法》により定められていた。


 古今東西、UFOとして人々に認識されたものはおそらくこの《AP社グループ》が発明したバカでかいタイムマシーンであろうと思われる。



 最大級の発見のうちのもう1つは、スピリット・ウォッチャーと呼ばれるものであった。


 スピリットとは精霊とか妖精、もしくは妖怪などと呼ばれているもののことである。


 これは《AP社》の本部に所属する科学者が発明したものであった。西暦2096年にもなって、精霊とか妖精とか妖怪とか、そういった類のものを研究するというのも酔狂なことであったが、《AP社》はそういった酔狂なことも好む社風であったのである。


 この2つの発明により《AP社グループ》はさらに興隆していき、《MGL社グループ》は衰退していくことになる。


 ただし、このスピリット・ウォッチャーはヘルメット型をしているのだが、かなり重いものであったためユーザーからはたいへん不評であったのではあるが......


 もちろん人々を驚かせたのは、スピリット・ウォッチャーの発明そのものより、精霊とか妖精とか妖怪とか、そういった類のものが本当に存在していたということであった。


 これもまたこの発明により、古今東西、迷宮入りとなった得体の知れない事件がそういったスピリットと呼ばれる者たちの犯行であったのではないかと、歴史学者達により再考されるようになったのである。

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