第11話

 私達は、王太子と側近貴族を人質にして、王国軍の武装解除をしました。

 遠方に離れている部隊は無理ですが、近衛部隊とも言える、本陣周辺を警備していた部隊は、完璧に武装解除させました。

 その武装解除は、本陣周辺の住民にさせました。


 二度目の王太子と側近貴族の捕獲です。

 前例がありますから、慣れたモノです。

 騎士階級以上の不戦と不逃亡の誓いも、すんなり行われました。

 全軍の武装解除も、素直に行われました。


 王太子と側近貴族は、行軍行程上にあった貴族家から、莫大な戦費を徴収していました。

 十万を超える大軍の圧力に、全ての貴族が身ぐるみ剥がれる状態でした。

 民は、明日の食糧もなくなるほど略奪されていました。

 その行状は、王国軍ではなく、野盗の集団としか言えません。


 その全財産と食糧を、私達は奪いました。

 軍馬や輓馬、乗馬や駄馬、驢馬に山羊に至るまで、輸送手段と言える動物は全て奪いました。

 その世話役に、むりやり住民を徴用しました。

 その住民達には、王国軍を武装解除して奪った、選り抜きの武具を装備させました。


「さて、今から軍法会議を開催する。

 王国軍兵士として、不埒な振る舞いを行った者を処断する。

 その裁きは、直属上司の騎士に担当してもらう。

 刑の執行は、被害を受けた住民に担当してもらう。

 拒否すれば、両者をこの場で斬首とする」


 前回の敗戦時と違う決定は、最後の最後に行いました。

 下着一枚にまで武装解除された騎士や兵士に、私達に逆らう事など出来ません。

 それでも逃げようとした雑兵がいましたが、ネラが逃げようとした雑兵の首を刎ね飛ばしたら、わずかな期待を込めて、裁判を待つ事にしたようです。


 そこから先は、凄惨な復讐の場と化しました。

 事ここに至って、王太子と側近貴族はもちろん、騎士も雑兵も、私達が情け容赦のない判決をした事に気が付いたのです。

 騎士の誓いを破った事の重大さに気が付いたのです。


 王太子と側近貴族は、又しても失禁脱糞しました。

 失禁脱糞癖が付いたのかもしれません。

 哀れな事です。

 中にはその場で失神する臆病者もいました。


 抵抗出来ない者を、部下が嬲り殺しにする所は愉しみに見れても、自分達が嬲り殺しになる場にいるのは、恐ろしいと見えます。

 住民達が、愉悦の表情を浮かべて、凶行を行った雑兵を叩き殺していきます。

 裁判を担当した騎士は、剣で一撃で殺すことを許さず、棒で叩き殺す判決を下しました。


 いえ、私達が、そう言う判決を下すように誘導したのです。

 騎士達は、特に先の敗戦時に騎士の誓いを破った騎士達は、自分達が助かるわずかな可能性を信じて、私達の誘導に率先して従ってくれました。

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