第5話 インテルはCPU専業に変身した

 日本のモノづくりが最高潮の時期でもあり、微細な加工が必要なメモリはもはやどこも勝ちようがなくなっていた。


 インテルは決断を迫られた。インテルの首脳部では、あきらめのムードさえ漂いはじめ、名前は出さないがとある幹部はタバコを二パックも吸い、昼からやけ酒を飲んでいたという(インサイド・インテルの記載より)。


 メモリというのは、非常に微細な加工が必要で、その技術を使って次世代CPUを作る、というのがインテルのやり口だった。だから、容易にメモリからは撤退できないように思われた。


 しかし、インテルは決断し、メモリから撤退しCPUにリソースを傾けることにした。この結果、日本のメモリメーカーは大儲けを続ける一方、モトローラは非常に困ったことになった。


 というのも、インテルの開発速度に追いつけなくなりつつあり、当時の最先端であったi486に対抗するMC68040で追いつくのが精いっぱいになっていた。さらにインテルは開発力を強化して次世代を作りつつあったが、モトローラには追い付けないことが明白になりはじめた。


 事態を知ったアップルは、モトローラのCPUを使うことをあきらめはじめようとしていた。


 これが90年代初めころであり、まさに日本にとっても転換期となる。バブルもはじけつつあり、そんなところに日米半導体協定が締結されたのである。


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