第24話 中里織絵

頭が割れるほど痛い。


前方のヘッドレストに頭を突っ込んだ。 

割れたかもしれない。


あれ?

足下に何か見える。


紫色の…

パンティだ。


は?何これ?

これを見られたくなくて運転席に誰も乗せたく無かったの?


これは恐らく、美希のものだ。

最低だおまえら…。


山口は死んでもおかしくないくらい前に吹っ飛んだ。

馬鹿亭主はエアバッグに埋もれている。


美希は分からない。鼻からドス黒い血が出ている。

頭打ったな?いい気味だ。


ギリギリ助手席の誠が見えた。


ここは誠に救急車を呼ばせる以外ないだろう。

『…う…誠くん…』

言ってから気付いたが、うっかりいつもの呼び名で呼んでしまった。

まぁ、大丈夫だろう、旦那も美希も失神しているように見える。


『誠くん…救急車……』



だが誠はわなわなと震え山口の後ろ襟を掴んで引き起こした。


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