第16話 山口晴樹

気付けばまんまと後部座席に乗せられてしまった。

そして何故か右側に織絵、左側を美希が固めている。


美希は兎も角として、織絵さんよ、あんた俺のことが嫌いじゃなかったのかね?


『大丈夫ですよ!』

と織絵。

『あの、そんなに強く手握ったら逆に辛いのでは?』

美希が織絵を諫める。

『元気づけた方がいいの!私看護師だから心配しないで。』

織絵がバッサリ。


なんだこいつら。しかしこうして近くで見ると織絵、お前巨乳だな。


ぶっちゃけた話巨乳で看護師で性格がキツい女と言うのはソソられる。

美希には悪いが。


しかし、今ハンドルを握り発進せんとしているのは中里。


幸い足元のパンティには気付いていない。

いやそれよりなにをナビを弄くり回している?

病院なんかスマホで探してそれをナビに打ち込めばいいだろうが。



『なにしてるんですか?やっぱり代わりますよ運転。』

痺れを切らしたのか、志村が中里に言った。


『いや!すぐですから…』

とは言ったものの一向に発進しない。



『なにやってんのよ!苦しんでんでしょこのひと!』

織絵がヒステリーな声を上げる。


なんだ、こいつ本当に心配してくれてるのか?

いやむしろ、


俺に気があるのか?


おいおい、それならそれで俺はウェルカムだぞ。

華奢で従順な美希。

巨乳で気の強い織絵。


良いじゃないか。

海の幸と山の幸を日替わりで楽しむ様じゃないか。 


『二人とも…ありがとう。』

俺は声を絞り出した。

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