第5話 逃げることは許されない

男たちは防弾チョッキを身にまとい装備を整えている

アルファはテイザー銃をベータはロッド型スタンガンをそれぞれ身に着けていた


ビルから地下1階へと降りていく、地下1階は事務所らしき場所や給湯室があるだけだ、誰が入っても不審な場所ではない、どの部屋にも人の気配はない


さらに下へと降りていく地下2階に降りても特に暗いことも無く明かりは十分だ、扉を少し覗いてみても倉庫らしき部屋があるだけで特に変わった処はない、通路の奥に扉がある、位置的に隣のビルへの扉と推測する


「変だな」


「ああ、下へ降りる階段がない」


ベータは隣のビルへの扉を開けてみる

「一見したところ隣のビルからも降りる階段はなさそうだな」


「これは困ったな、下水道からしか入れないのか・・・」


2人が試案している時に英二郎は床に薄っすらと黒い靄がユラユラしているのを発見する、黒い靄を観察しているとある部屋の扉の下から漏れているのに気付いた


「これは・・・」


英二郎は黒い靄をたどり部屋を開ける、見た感じなんの変哲もない殺風景な部屋だが床の一部から黒い靄があふれ出ていた


「アルファさん、この床の下に何かがありそうです」


アルファは床を指で叩き場所を確認する


「どうやらビンゴのようだ、下に空間があるな」


ナイフを床の隙間に刺し、ゆっくりと床を持ち上げた


下へ降りる階段だ


「この匂いは・・・、ベータ分かるか」


「ああ、間違いない血の匂いだ、それも普通じゃここまでの匂いは感じられねえ、一体なにが行われてるんだ」


「とにかく急ごう、ガンマの身が危険だ」


「英二郎さんあんたは危険だ、ここに残ってくれ」


「いいえ、私もこんなところで1人でいるのは怖いので後ろから離れて付いてきます」


「分かった、危険と判断した時はすぐに逃げれるようにしてくれると助かる」


2人にはおそらく見えてはいないのだろう、地下3階には明かりもついているが、なにより黒い靄が濃くなっており視界が悪い状態だ


3人は地下3階へと降り立つ、アルファは指で合図を送る、アルファは右へ、ベータは左へ英二郎の視界から2人は黒い靄の中へと消えていった


英二郎は不安と緊張から、いつもお守り代わりに身に着けている石を取り出し握りしめた、すると黒い靄のか石がある方向へレーザーのように光で導いている


光はそう遠くない場所に感じ英二郎は少し歩を進める

2mくらい先の扉に光が突き抜けている


英二郎はゆっくり扉を開ける、すると光の先少女たちが拘束されているのを見つけた

少女たちの拘束を解こうにも紐が固い、手こずっているとベータが部屋へと飛び入ってきた


「まずい、交渉は決裂したようだ」


「ベータさん少女たちの紐をお願いします」


ベータは取り出したナイフで少女たちの拘束を解いた


扉を出るとガンマが駆け寄ってきた


「アルファのテイザーで足止めしている間に早く逃げるんだ」


全員で下水道の扉へ走る、一番後ろでアルファも走ってきているのが見えた


少女たちが1人、2人と出た瞬間


「おっと、その子は逃がさないよ」


男は刀を投げた


アルファやベータの横をすり抜け刀は少女を襲う

とっさに英二郎が少女に覆いかぶさり刀は英二郎の脇腹を串刺しにした


刀が血を吸った瞬間、世界が変わる


そこは紅い空の下、木々が生える林の中

周りには少女と護衛の3人、ケガをした英二郎の5人だけの取り残された




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る