用語集その2

久々に用語集を追加することにしてみました。今回は第二部・第三部関連。なんか書いているうちにどんどん文章が長くなるのは、決して現実逃避に夢中になってたからではないと思います、きっと。



第二部 魔女


○クロージア(惑星CL4)……テネヴェの惑星開発調査隊が発見した、人類の入植可能基準をクリアした惑星。環境的には惑星改造もほとんど不要なレベルだったが、そこに棲息する生き物は全てが精神感応的に《繋がる》という独特の生態系を築いていた。クロージア生態系は精神感応的に《繋がる》ことで閉鎖的かつ安定した世界を築いていたが、そこに訪れたヒトの存在に触れることで好奇心を刺激され、同時に彼らがこのままでは発展の可能性が皆無であることに気づく。《オーグ》との大邂逅は、クロージア生態系にとっても望むところであった。


○セランネ区……テネヴェの入植初期に開発された都市であり、初期の中心街区。銀河連邦成立後はテネヴェの中心も連峰関連施設が建つセランネ湾付近に移行し、代わりにセランネ区には教育研究施設が普及するようになった。ディーゴの住まいとなった八十八階建てマンション最上階のペントハウスも、セランネ区にある。


○連邦区……セランネ区東方に広がるセランネ湾沿いの沿岸区域。銀河連邦創設時の主要関連施設が建設され、連邦区と呼称されるようになった。


○東セランネ区……セランネ区東方の、セランネ湾を形成する南側岬を含む一帯を指す。当初は漁業従事者以外には別荘地が建つ程度だったが、連邦区の成立後は連邦従事者の居住区として発展する。


○初期開拓時代……スタージアが送り出した開拓団がエルトランザに入植し、その後エルトランザを中心に多くの惑星を開拓していった時代を指す。個々の開拓団が入植先で独自の国家を形成した前期、エルトランザ、バララト、サカといった複星系国家がそれぞれの版図を拡大した中期、バララトの経済的支援に後押しされた独立惑星国家の建国ラッシュとなった後期に大別される。


○同盟戦争……惑星同盟がバララトの経済的支配に叛旗を翻したことで生じた、銀河系人類史上初の複星系国家同士の軍事的衝突。当時の覇者バララトが優勢と見られていたが、エルトランザによる惑星同盟の支援とサカの暗躍によって惑星同盟の勝利に終わる。この戦争で惑星同盟は第四の複星系国家の地位を獲得し、バララトの覇権は失墜する。同時に初期開拓時代は終焉を迎え、惑星開拓の再開は銀河連邦成立後にまで持ち越されることとなった。


○ダレグリーズ星系会戦……バララト軍と惑星同盟軍による、同盟戦争史上最大の激戦。アイヴァン・アントネエフの活躍により、最終的には惑星同盟側の勝利に終わった。この戦いでバララトは戦力を激減させ、同盟戦争終結の契機となった。


○チャカドーグー……テネヴェとローベンダールの中間に位置する独立惑星国家。テネヴェ以上に惑星同盟の圧力に翻弄されてきたが、銀河連邦創設時には加盟国に滑り込むことで命脈を保った。


○スレヴィア……惑星同盟の構成国のひとつで、同盟戦争後はアントネエフ家が代々領主を務める。惑星同盟の中ではローベンダールやイシタナと主導権を争ってきたが、銀河連邦成立後は二代常任委員長バジミール・アントネエフを輩出するなどして存在感を示す。《オーグ》来襲時にはタラベルソとの銀河ネットワーク開通試験によって、《オーグ》の精神感応力に呑み込まれてしまう。


○イシタナ……惑星同盟の構成国のひとつ。ローベンダールやスレヴィア相手に同盟の主導権を争うが、銀河連邦成立後は第一世代加盟国中の中堅国の座に落ち着く。カナリーの生家ホスクローヴ家は、同盟時代から武門で鳴らすイシタナの名家である。


○タラベルソ……惑星同盟の構成国のひとつ。同盟内ではスレヴィアの従属的立場にあった。連邦加盟後は隣接するサカとの交易の要衝として発展する。連邦加盟国の中で最初に《オーグ》に呑み込まれ、その際に他星系と一切の連絡が途絶える『大途絶グランダウン』に陥る。ファナとユタの双子の姉弟はタラベルソの養護施設に預けられて育った。


○テネヴェ・デキシング宇宙港……独立惑星国家時代のテネヴェで建造された大規模宇宙港。スーパータンカーの寄港も可能になったこの宇宙港のお陰で、テネヴェは農産物の輸出国として成長した。港名には建造計画を進めた当時の指導者ハモルド・デキシングの名を冠されている。


○スタージア宇宙港……銀河系人類社会最古の宇宙港。スタージアを訪れる大量の巡礼客を迎え入れるため年々拡大を続けており、その規模は銀河系人類社会でも十指に入る。


○ミッダルト中央科学院……ミッダルトの誇る教育研究施設のひとつ。ジェスター院の設立以前はミッダルトでも最高の権威を誇った。


○銀河連邦準備委員会……銀河連邦創設準備のために立ち上げられた組織。三十八の加盟候補国代表から成る。委員長はテネヴェ市長グレートルーデ・ヴューラー。


○銀河連邦評議会……銀河連邦加盟国を代表する評議会議員によって構成される、銀河連邦の最高議決機関。評議会議員の選出方法は、加盟国に一任されている。


○銀河連邦常任委員会……銀河連邦の執行機関。航宙・通商・安全保障・財務の執行部門四局を統括する。常任委員は四局長及び無任所の常任委員長の五名と、議決権のない事務局長から成る。各常任委員は連邦評議会の中から投票によって選出される。外縁星系コースト動乱後には外縁星系開発局が新設され、その局長も常任委員会に加わった。


○連邦航宙局……銀河連邦域内の航宙関係全般を管轄する。その担当範囲は極小質量宙域ヴォイド管制ステーションの運用から連絡船通信まで多岐に渡る。


○連邦通商局……銀河連邦域内の経済活動関連を管轄する。主業務は関税の調整だが、緊急時には連邦域内の生産物流の管理まで担うこともある。


○連邦安全保障局……銀河連邦軍と連邦保安庁を従えて、銀河連邦域内の治安維持から域外勢力に対する防衛を担う。連邦軍と保安庁は惑星同盟軍を再編して創設された。


○連邦財務局……銀河連邦の加盟金の徴収とその予算配分等、財政全般を担う。


○銀河連邦事務局……連邦常任委員長の輔弼機関。実質的に銀河連邦の事務方のトップ。事務局長は常任委員長が指名し、常任委員会にも議決権のないオブザーバーとして参加する。


○銀河連邦軍……連邦安全保障局に属する軍隊組織。かつてバララトを破った惑星同盟軍を前身としており、創設当初から銀河系随一の質量を誇る。


○銀河連邦保安庁……連邦安全保障局に属する、域内の治安を担う警察組織。惑星国家レベルを超える広域犯罪は連邦保安庁の管轄となる。


○《クロージアン》……N2B細胞由来の精神感応力を覚醒させて《繋がる》ことで銀河連邦を打ち立てたイェッタとタンドラは、タンドラの死にイェッタを巻き込まないために、官民を問わぬテネヴェの要人たちと《繋がる》ことを選んだ。イェッタはこの《繋がり》による集団を《スタージアン》に対する存在《クロージアン》と名づける。《クロージアン》は以後《オーグ》来襲の際に《スタージアン》と《繋がる》までの三百年間近くの間、銀河連邦の官僚機構を中心に掌握して、連邦を陰から支配し続ける。


第三部 叛逆者たち


立方棋クビカ……九×九×九の格子体グリッドに区切られたホログラム映像による立方体を舞台に、同数の赤と青の駒で競い合うゲーム。元々は連邦軍の戦術シミュレーション用に開発されたものが、やがて民間にも遊戯として広まった。作者は三次元のチェッカー×囲碁のようなゲームをイメージしていたものの、具体的なルールは何も考えてません。


○第二次開拓時代……創設から一世紀余りを経て政治経済的に成熟した連邦は、新たな居住惑星の開拓を推奨する。この時代を後に第二次開拓時代、開拓された惑星を外縁星系コーストと呼ぶようになる。


○『銀河系は広い、人類は拡散すべし!』……銀河連邦が惑星開拓の再開に当たって有識者に意見を求めた際、有識者代表としてドリーが回答した際の言葉。ドリーはスタージアから遠ざかるために、人類は銀河系での生活圏をさらに広がるべきと考えていた。後に第二次開拓時代のキャッチフレーズとして世間に流布する。


AltN2bオルタネイト……ドリーが生涯を賭けて開発した、N2B細胞の持つ身体調節機能をほかの体内器官で代替させる新薬。オルタネイトのお陰で従来生まれ育った惑星を飛び出すことが出来なかった先天性N2B細胞欠損者も星間移動が可能となる。また《オーグ》とクロージア生態系の邂逅によってN2B細胞の機能停止した際には、その補完薬として全人類に共有されるようになった。


端末棒ステッキ……軽くひと振りすることで任意にホログラム・スクリーンを投影出来る通信端末。身分証も兼ねており、この時代にはほぼ各人が一本ずつ所有している。もう少し色んな機能を持たせて劇中でも目立たせたかったのに思いつかなかった、作者としては消化不良のアイテム。


外縁星系コースト……第二次開拓時代に連邦主導で切り拓かれた惑星国家群。いずれも連邦直轄星系を経て銀河連邦加盟の惑星国家となった。だが第一世代や連邦当局からの巨額の融資を受けたことで債務返済に喘ぐ星がほとんどで、その不満は後に外縁星系コースト動乱という形で爆発した。動乱後は揃って連邦直轄自治領として再編されるが、その実態は連邦内に生じた事実上の複星系国家であった。

:ジャランデール……外縁星系コーストの中でも最も若い国家。ジャランデールで発生した大暴動を切欠に動乱が勃発する。動乱中の外縁星系コーストの拠点。

:トゥーラン……動乱中最も激しい戦闘を経た外縁星系コースト国家。自治領成立後は総督府が置かれ、自治領の中心地となる。

:クーファンブート……外縁星系コースト国家のひとつ。テネヴェ寄りに位置する。

:ネヤクヌヴ……外縁星系コースト国家の一つ。スタージア寄りに位置する。


外縁星系人コースター……第二次開拓時代に外縁星系コーストを切り拓いた開拓者が、自ら名乗った呼称。元来は自主独立の気風が強い誉れ高い呼び名だったが、やがて第一世代は外縁星系コーストに生まれ育った人々を見下す際に蔑称として使うようになった。自治領成立後も呼称は残り続ける。


○第一世代……銀河連邦創設の最初期に加盟した三十八カ国で生まれ育った人々が、外縁星系人コースターと自らを区別するために名乗るようになった呼称。


○エクセランネ区……テネヴェ連邦区における銀河連邦関連施設のさらなる拡充のため、セランネ湾に浮かべたメガフロートによる人工島区一帯を指す。エクセランネ区には連邦評議会ドーム、連邦常任委員会本部ビル、航宙局、通商局、財務局、安全保障局、連邦軍、連邦保安庁等が揃い、事実上の銀河連邦中枢地区である。


○ジャランデール大暴動……ジャランデールで勃発した連邦保安庁と現地市民の衝突。これまでも繰り返されてきた連邦通商局ジャランデール支部への抗議デモに対し、保安部隊が誤った情報に基づく群衆への発砲を切欠に、保安部隊三十名以上、ジャランデール市民三百名以上の死傷者を出す未曾有の大惨事となった。この事件の首謀者としてシャレイドの父サード、兄アキムが逮捕され獄死している。外縁星系コースト全域に連邦への不信が広まる契機ともなった。


外縁星系コースト一斉蜂起……連邦評議会において安全保障局特別対策本部の解散案が否決された結果、外縁星系コースト国家が一斉に連邦保安庁の武力接収を強行した、事実上の外縁星系コースト国家による銀河連邦への叛乱行動。ジャランデールやクーファンブート、ネヤクヌヴでは比較的平和的に遂行された一方、トゥーランのように保安部隊と現地軍との激しい軍事衝突が生じた国もあったが、最終的には全ての外縁星系コースト国家で達成された。その裏には外縁星系コースト国家間を渡り歩きながら策を施したシャレイドの暗躍があった。


○トゥーラン星系の戦い……外縁星系コースト一斉蜂起を受けて、その首魁ジェネバの身柄を抑えるべくジャランデールに向かった銀河連邦軍を、外縁星系コースト連合軍がトゥーラン星系で迎え撃った戦い。連邦軍は数に劣るものの装備練度に勝り、烏合の衆である外縁星系コースト連合軍を見事打ち破る。だが同時期にトゥーランで連邦保安庁による現地勢力への巻き返しが始まったため、連邦軍は保安庁の応援のためトゥーラン占領を優先した。この間にシャレイドが弄したジャランデール~トゥーラン間の極小質量宙域ヴォイドに無人艦船を大量にばらまくという奇策によって、連邦軍はジャランデールへの侵攻を足止めされることになる。


○スタージア星系の戦い……トゥーラン星系の戦いで劣勢に追い込まれた外縁星系コースト連合軍は、スタージアに軍事圧力をかけてその影響力の利用を図る。これに対して連邦軍は動員可能戦力のほぼ全てをスタージア星系に差し向け、ここに銀河系人類史上最大規模の会戦が繰り広げられた。当初質量共に勝る連邦軍の優勢で進んだ戦況は外縁星系コースト連合軍の伏兵戦術によって覆され、最終的に連邦軍は全軍の三分の一を失うという大敗を喫する。この戦いによって連邦軍は継戦能力を失い、外縁星系コースト連合との和睦へと追い込まれることとなる。その実態は《星の彼方》方面の宙域をデブリで埋め尽くしたい《スタージアン》が、連邦軍艦艇に干渉し機能不全に陥らせた結果であった。


○外縁星系開発局……外縁星系コースト動乱に決着をつけるために設立された、連邦四局に並ぶ新設部局。連邦直轄自治領の統治を目的とし、自治領総督の任命権を持つ。局長は常任委員も兼ね、また原則として自治領代表の連邦評議会議員が務める。初代局長にはシャレイドが就任した。


○銀河連邦直轄自治領……外縁星系コースト国家十三カ国から成る、銀河連邦直轄地。連邦評議会に送り込める評議会議員は一名のみ、航宙・通商・安全保障も領内で賄わなければならないが、連邦加盟負担金は一カ国分のみで良しとされ、その他連邦加盟国との航宙・通商の自由も保証される。事実上の連邦内の複星系国家。現地で自治領を直接統治する総督府はトゥーランに置かれ、後にトゥーラン自治領の呼称が定着した。初代総督はジェネバ・ンゼマ。

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