第4話 ブランドよどこへ行く

 LAURA ASHLEY(ローラアシュレイ)が二〇一八年中に日本での事業を終了、実店舗もオンラインショップも完全閉店という情報を耳にして驚きを隠せません。


 花柄を主体にした優美なデザインの服飾および小物類は、贈答品として地味に重宝してました。自分用にもハンカチやポーチといった、そこそこ安くて使い勝手の良い物を選んでましたし。そんな想い出のあるブランドが撤退してしまうなんて。遙か昔、地元の老舗デパート内で営業していたHarrods(ハロッズ)ティールームが閉店してしまって以来のショックです。



 この様に馴染み深いブランドが日本から姿を消す理由は、百円ショップの盛況や洋服のファストファッション化など、消費者嗜好の変化が上げられます。端的に言うと所得の低下。デフレに馴れた若者世代は、余程のお気に入りでもない限り高級ブランドに食い付きませんしね。売り手側も採算が取れないと判断したのでしょう。


 ひと昔前なら、ペンションやホテルのベッドリネンをローラ・アシュレイで統一する例が多く見られました。現在はFrancfranc(フランフラン)やCath Kidston(キャスキッドソン)に取って代わられてるかもしれませんが。いずれも従来の老舗ブランドに比べて圧倒的に値段が安く、しかもデザインが若者向け。時々、ディズニーキャラクターとコラボした限定商品も販売しているから侮れない。


 近年のブランド物にお値打ち品が多いのは、生産工場を諸外国に置いてローコストを図る、いわゆるアウトソーシング(外部委託)を実現させているからです。そう言えば以前、ローラアシュレイで買ったバーゲン服もイスラエル製でした。コスト削減を頑張っていたのかなぁ。



 そう言えば昭和六十年代のDCブランドブームにおいては、高級ブランドのデザインを真似した安い類似品が出回っていた記憶が。お洒落と野暮ったさの中間地点にある、微妙なデザインが特徴でした。


 大ぶりのフリルリボンをあしらった綿ブラウスとか、ビロード(ベルベット)素材で肩パッドが入ったボレロとか、現在なら中高年向けのブティックに並んでる様な服が多かった。当時の若者の目線でもダサいと感じたのですから、いかに庶民がブランドファッションに縁遠かったかが判ります。



 今も昔も高級ブランドは一般庶民の手に届かない存在。しかし、まるっきり縁遠いのも淋しい。冒頭で語った様に、たまには思い切って購入して、質の良いブランド品に身を包みたいものです。

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