第17話 冒険記



 街へ向かったお兄さん猫は初めてみる物ばかり。


 魚屋の近くを通ると小魚を貰ったり、花屋で香りを楽しんだり、街の子供達に遊んでもらったり。


 気づけばあっという間に時間がすぎます。



「そろそろ帰ろう。お母さんとの約束の時間が来てしまう。」


 お兄さん猫は帰りました。途中、おばあさんのお家に寄るのも忘れません。


「ニャーオ。ニャーオ。」


 ドアの前で鳴くとおばあさんが気づき外へ出てきました。


「よく来たね。お入り。お腹が空いていないかい?」


 お兄さん猫はニャーンと鳴き、ねだります。


「ゆっくりしていきなね。」



 おばあさんはそう言いますが、母猫との約束を守らなければなりません。少し急いでミルクを飲みあげると、ドアをカリカリ、カリカリ。


「おや、もう行くのかい?急いでいたのかい、すまないね。また来ておくれよ。おばあちゃんは一人、此処に住んでるんだ。少し寂しくってね、たまに遊びに来ておくれよ。」


 おばあさんはニコリと笑うとドアを開けました。


「ニャーオ。ニャーン。」


 おばあさんの言葉は難しくて仔猫にはわかりませんでしたが、何処か寂しそうなのは仔猫にも伝わりました。


「ニャーー。」また来るよ。お兄さん猫は返事をしました。



 それから仔猫は我が家に向かって走りました。早く着かなくては日が暮れます。


「大変だ!急がなきゃ。きっとお母さんは心配をしている」



 もうすぐお兄さんの初めての冒険が終わります。

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