ヲタクP(プロデューサー)と人気声優

@makikana

第1声 出会いは大学!?

 「プロデューサーになってください。」これが僕の人生を変えるきっかけになるなんて..

 僕は、「梶 光(かじ ひかる)」。少し勉強ができるからと地元の進学校に通わされ、今では、そこそこの大学で平穏な日々を過ごしている。まぁ僕はなにも長けているものがなく、強いて言うなら、理系男子、さらには=ヲタクと等式を立てることのできるアニメヲタクだと言うことだろうか。

 僕の紹介はこれくらいにして、今僕の生活を揺るがすような大問題が起こった。そして、その原因は"声優"だ。

 桜が満開であった今年の入学式のときだ。僕はサークルの存続を賭けたサークルの勧誘に大学の広場に寂しく一人で向かった。そのサークルも「アニメ研究会」という部員も僕一人のサークルで、もうサークルであるのかすら怪しい。

「こんなサークルに誰が入るのだろうか?」

と思いながら、キャンパスライフを楽しく過ごすためサークルを探している新入生のコロニーのような集団が目の前を過ぎていくのをずっと見つめていた。そろそろ帰るかと思いその場を離れようとした瞬間、一人の女性が僕の目の前に立ちはだかった。身長的には僕の方が高いはずがなにか、僕よりとても大きな何かを持っている女性だ。

「入部したいのですが。」と言われた時、聞き慣れた声だった気がした。僕に話しかけてくる後輩なんていないはずなのに。足元から顔へ目を向けた瞬間、戦慄が走った。僕の大好きなアニメで、しかも推しキャラを演じている声優"松裏 真紀"さんではないか!高校生声優として一世を風靡し、今春高校を卒業したのは知っていたが、まさかこの学校に来るなんて。しかもこのサークルに。恐る恐る聞いてみた。

「どうしてこのサークルに?」

「サークルがどうこうというよりも...あなたに用があって...このサークルに入部しようと」

「ぼく!?」息の根が止まるほど驚いた。

さっきから寿命が縮んでいる気しかしないのは気のせいだろうか?まず、僕に用件などがある人間がいたなんて。用件はなんだろうか。

「プロデューサーになってください!!」

唐突すぎる。しかもプロデューサー??付き合ってくださいなら、そこらへんのラブコメでありそうだが、プロデューサーとこられると返答に困る。だが、プロデューサーを求めている理由は分かっている。大学を受験するかしないかで、前のプロデューサーと揉めて今はプロデューサーがいない状態で芸能活動いるからだ。

「真紀さん。プロデューサーの経験なんて無いのですが、どうして僕を?」

「あなたに、何か魅かれるものがあったから、プロデューサーになってくださいと頼んだだけで...。本当は...。あ、あと、さん付けで呼ばないで!真紀ってよんでよね!」

何か魅かれるもの?僕は、そんなものを持っている気もしないし、神から頂いた記憶もない。しかし、あの真紀さんのプロデューサーに、成れる機会なんて、人として生まれてくる確率より、低いに違いない。1ファンとして、側で応援できるのはこの上ない幸せだ。この想いが単純に断る理由をなくしてしまっていた。

 いつかその"魅かれるもの"が、何なのかとわかれば良いという思いを抱きながら、

新米プロデューサーとして真紀さんを支えていこうと決心した。

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