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「おかえりなさいませ。艦長」


 愛想のない機械だが、並の人間より仕事は遥かにできる。いわばこの船の船頭だ。そして、こいつは俺の秘書でもある。だがこの秘書、俺を迎え入れた途端に愚痴をかましてくる。礼儀正しくな。


「例の爆発が私も私の船もパフォーマンスを低下させています。また新規燃料タンクに互換性のあるドライバが一部欠損しています。他にも燃料タンクと私の同調率が二十五%以下です」


「で?」


「詰まる所、この船の定期メンテナンスを長期に渡ってじっくり行わないといけないでしょう。また旧ソフトウェアへの互換性を持った新規ドライバーの検索と購入。それから、機関エンジンの交換が必要でしょう」


「で?」


「この船はもうダメです。この機におニューを購入しましょう」


 何かにつけて新品を欲しがるところは玉に瑕だが、こうは言ってもその人を超えた数値やら何やらの処理能力を駆使してこの船を動かす最高の相棒だ。因みに彼女は二十五体目の彼女だ。シオンの前はエバンって男だった。自身の高速処理に一定以上の超負荷が長期間かかると彼女は自分の基幹コピーを別に作製し自身は崩壊する。人工知能の欠点であり、そこがまた魅力でもある。こいつらは自身に貯まったキャッシュを廃棄できないんだ。何故ならこいつらの判断基準にはキャッシュが何よりも……。


 この話はいらないな。


                                  続く

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