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「ようよう、俺の船に乗船するならいくつか条件がある。まず一つは俺の行動に口を出すな。それから部屋を汚すな。飲み物、食い物を艦橋に持ち込むな。スリッパは禁止。寝巻きは自室で着替えろ。トイレは一人二〇分以上入るな。後、トイレで携帯弄るな。他はおいおい言う。分かったか?」


 頷かなかった奴がいたが放っておいた。俺を先頭に「酔いどれ市場号」に乗り込み、まずはこいつらを自室に案内した。全四階のうちこいつらの部屋は二階の二部屋を男女に分けた。三階には風呂とトイレとシャワーで四階は俺の部屋だ。俺の部屋は十五畳、あいつらの部屋は十畳。まあ、妥当だろ。因みに一階は貨物と機関室と俺の実験室があって、この船の司令塔、艦橋へは三階の中央廊下を真っ直ぐ行けば辿り着く。まあ、その間のセキュリティを三重にしてあるんだが。


「自分の部屋の準備はお前らに任す。俺は艦橋にいる。用があるならそこへ来い。あー、来なかった時のために言っとくがワープの時は立っているなよ。事前警告はする。自室か三階のシートに座ってろ。宇宙初めてのやつはいないよな?」


「いるわけないでしょ。人殺し」


 俺は足早に艦橋へと向かった。だがその前に自室に荷物を置いていると、艦内アナウンスが流れた。無機質で儀礼的な女性の声だ。


 この船のアドバンスドインテリジェンス、通称「シオン」だ。


                                  続く

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