第6話 見えている世界

私が子供の頃、休日には自然と触れ合うことや、時には素晴らしい建築物を見に行ったりと、色んな物を見て、感じて、そこから様々な刺激をもらいながら育ってきた。

そして、自分に子どもができたらたくさんのワクワクするような経験を一緒にしながら愛情いっぱい育てていきたい!…そう思っていた。

……少しだけ、自信はあった。

なぜなら 私は幼稚園教諭と保育士の資格を持ち、独身の頃は幼稚園で働いていた。。

そして、学校、研修等でそれなりに幼児教育を学んでいた。


長男が生まれた時、次男が生まれるまでの5年間はそのように 色んなところへ連れていき、自然、動物と触れ合う機会をつくり、お出かけし、たくさん遊び……ごくありふれた子育てをしていた。

当然、次男が生まれても お兄ちゃんと同じように家族で……と思っていた。


だけど次男と過ごしながら少しずつ気づいていく。

お兄ちゃんや他の子とは興味を持つ物が違う……


公園に連れていった時、次男の目にとまるものは 遊具ではなく、足元に落ちている枯葉がその日の遊び道具になる。

ある時は小石。

ある時は駐車場にある車のタイヤ。

ある時は公園の横の赤い色のついてあるアスファルトでできた歩道……。


家にいる時、録画したアニメをお兄ちゃんと見ていても、ある場面になると巻き戻して見て…またさっきの所まで巻き戻して……を繰り返して、しまいにお兄ちゃんに怒られる。


アニメを見る…というよりは、特定の数秒間のある場面だけを見たがっていた。


他にもあげればキリがないが、とにかく興味を持つ物が想定外のことが多くて毎日戸惑った。

遊び始めると私の事など眼中に無く……声を掛けても、隠れても…なんのお構いもなく、際限なく1人で遊ぶ。。


ママのことは……私のことは見えてないのかなぁ。。

一緒にいても、居る世界が違う感じ。。

もっと一緒に遊びたいな……

触れることはできるのに…本当に触れてはいないような……

何か寂しい毎日だった。。








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