第6話 弁当

 午前の授業が終わり、昼放課のとき。


 教室を出て、トイレに行く途中、僕の正面には、女の子の姿があった。


「こんにちは、柳木君」


 僕の目の前にいるのは、ピンク色の髪をした彼女がいる。


「お昼は友達と一緒に食べる予定はある?」


 僕は日頃、教室で国光君と弁当を食べていて、それ以外の人とは一緒に食べたことはない。


「教室で友達と一緒に食べる予定だよ」


「うん、じゃあ私もその中に混ぜさせてもらっていい?」


「おそらく友達の方は大丈夫から、一緒に混ざってもいいよ」


「分かった」


 二人は教室まで足を運ぶ。





「あれ?珍しいな?しかも柳木が女の子を連れてくるとはよ」


 僕の机は窓側の一番後ろにあり、そこで国光君と一緒にご飯を食べる。


 そして、美少女を教室に連れて来た途端に、周りから様々な視線を浴びる。


「こんにちは、席って空いているかな?」


「おう!席は全然空いているぜ」


「ほんと!じゃあ席借りるね」


 国光君は意外と女の子に対する免疫力があるそうだ。しかし、陰キャラをやっているのに気にしないのが不思議に思える。


「机は、向こうのが空いているから、使っても構わないぜ」


 とりあえず三人は机をくっつけて、一緒に食事をする。


「国光君達は普段どんなことをしているの?」


「放課は普通に柳木と本やアニメのことでいっぱいしゃべるな」


 彼のことを知り合ってからは、ライトノベルやアニメの話で絶えない。


「一体、どんな本を読んでるの?」


「柳木は、文学小説で、俺はライトノベルだな」


「ふ〜ん、私はファッション雑誌かな」


 三人の読む本は、それぞれ違うようだ。


「そういえば、どうして姫菜さんは、ここに来たんだ?」


「それは、たまたま通りかかった感じで」


「でも、教室真逆じゃね?」


「ほ、ほら移動教室の帰りとかで通ったりするから、不思議じゃないと思うし」


「それだと、弁当も一緒に持って行っていることにならないか」


「う、うん、そうだよ」


 彼女を見ると焦っているように見える。


 ちなみに彼がマスクを着用するのは、全校で集まるときに着用している。それ以外はマスクを取り外している。人と会話するときマスクをしていれば、聞き取りづらいのだろうと考え、普段は取り外している。


「って話しているうちにもうすぐチャイムが鳴るな」

 

 時刻を見ればもうすぐ授業が始まる時間になり、

 三人は急いで弁当を食べる。


「それじゃあ、またね」


 彼女は、教室を後にして僕達は次の授業に備える。

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