第10話 全ては人の真ん中にあるもの


「はっ!?」


 ツルハシは自宅の布団で目を覚ます。

 体の痛みも無く、ガバッと起き上がった。

 辺りを見渡すとしばらくぶりに帰ってきた自室であり、両親の仏壇も健在だ。

 目を擦り、ここを現実だと認識するのにそう時間は掛からなかった。


「……今までのは、夢だったんか?」


 そう思うツルハシは、次第に笑みが浮かぶ。


「さよならが言えずに、すまんなシャベルちゃん。元気でな……」

「ちょっとツルハシ! 早く起きなさいよ!」


 突然襖が開き、エプロンを着たシャベルの姿があった。


「シャベルちゃん!?」

「タイムマシンの燃料が集まるまで、しばらく居候してあげるのよ!」

「……」

「何とか言いなさいよ! 独り暮らしで寂しいでしょ! 家事とかやってあげるんだから感謝しなさい!」

「……マジか」


 驚き硬直するツルハシ、次第にシャベルは自信が失っていく。


「それとも……私といるのは嫌?」


 それを聞いたツルハシは、ゆっくりと満面の笑み浮かべ親指をグッと立てる。


「ええで!」



         完

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マトリョーシカの地球 バンブー @bamboo

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