あえて言おう、これはジェットコースターであると。
驚きとともにゆっくりと下地を作り、キャスト各々の「青春」が交わる時、物語は一気に急降下する。
僕達お客は高速で過ぎ去る風景に、ただひたすら大口を開けながら絶叫する以外にない。この乗り物にブレーキなど付いていないのだから。
勘違い系ラブコメは非常に人気のあるジャンルだ。
なのに、世に出た作品がそう多くない理由は単純に舵取りが難しいからだ。
ウケを狙い、登場人物を増やし、ピーキーすぎる性格を持たせすぎてしまうと物語が破綻してしまう。
そうなると読者はただ自壊してゆく建物を呆然と見送るだけになってしまう。
この作品の見どころの一つが、作者のこの「舵取り」の妙だ。
どうか、安心して読んで欲しい
安心してこの絶叫マシーンに乗り込んで、皆と一緒に走り出そう!
お笑い系で言えば『アンジャッシュ』ラノベで言えば『ゲーマーズ!』が代表でしょうか。
とにかく読んでいて面白い!楽しい!てのはもちろんなのだけれど、計算され尽くした展開に驚き感心させられます。
前述の『ゲーマーズ!』もこの作品も「ふつうに考えてこうはならないよね」って状況でも、状況設定や心理描写でムリなく納得させられてしまいますし話の運びに破綻がないのがスゴイ。それどころか、無駄な台詞や設定が一切なく次の状況や展開の伏線になってるのも多い。心理描写に見せかけて現状の整理もしてくれるので読み手が迷子にならなくて済みすごく読みやすいです。
最後に、雫ちゃんのポンコツ具合と天使ちゃんの翔太イジリが個人的にはツボりました。