第3話神と対話し世界を渡る

………アマテラス?確か日本の主神じゃったか?前に日本の古い書物を読む機会があって、その時にその名前を見た気がする。ん?神?……あっ!!


「妖怪の国元総大将マミゾウさん。あなたにお願いしたいことが…」

「思い出した!!」

「え?」

「あの箱から出ていた妖気に似たもの。数百年前にぶっ飛ばした神の力の波動と同じなんじゃ。いや~~思い出した思い出した(笑)」

「え?……神をぶっ飛ばした?」


そうじゃそうじゃすっかり忘れておったわい。数年前に北欧だかどこかかわまた忘れたが、ロキとか言う神が一度ワシらの国に来た。その時、自分の支配下に入れとふざけたことを抜かしおったから、全身全霊を持ってぶっ飛ばしたことがある。

あの時はまだバリバリの現役でやんちゃばかりしていた。いや~~~なつかしいのぉ。


「あの…神をぶっ飛ばしたと言うのは?」

「ん?あぁ…昔の……」


昔の事をワシは前のアマテラスさんとやらに話した。


「そうですか……あの悪神が…」

「悪神?神にも善悪があるのかの?」

「えぇ、神も善神だけではありませんから。…この世大半は2つの対になる断りで作られています。」

「……表裏とか善悪、有無や強弱と言ったものか?」

「大雑把に言えばその通りです。………やはりこの世界の中でもこの人はどこか違いますね…」


ん?何かブツブツ言っておるが……あっ、そうじゃさっき何か願い事があるとか言っておったの。…聞いてみるか。


「さっき、お願いごとがあるとか言っておったがなんじゃ?」

「え? あ!はい その願いと言うのは…マミゾウさん貴方に異世界に渡って貰いたいのです。」

「ん、了解した」

「あ、あれ?」

「なんじゃ?どうした」

「普通ならばなぜ?とかどうして?と理由くらい聞いてくるかと思ったんですが…」

「歳とると大抵の事はすんなり受け入れるようになってくるもんじゃよ。」

「そ、そうですか…」

「…まぁ、理由くらい聞いておくかの」

「…分かりました。では説明に入らせて頂きます。」


理由はこうじゃった。この世界には多くの生命がおり、持っている魂の量と言うものが決まっておるらしい。しかし如何せんその生命が増えすぎて魂の量が規定を大きく越えてしまったようで、何とか減らして規定の範囲に納めたいとゆう事。


「なるほど…でもなぜワシなのじゃ?やはり年寄りじゃからか?」

「いえ、それは貴方の魂の質が高すぎるからです」

「質とな?」

「はい…この世界の魂の量を規定の範囲に納めるとなるとたくさんの人達や動植物達を何とかしなければなりません」

「あぁ-、そんで一々捌いておれんから量より質で何とかしようと…と言う訳か…」

「はい、マミゾウさんには申し訳ないのですが、分かってください…」

「良いのでは?」

「え?」

「要は範囲に納めんと全ての者に影響が出るのじゃろ?ならば喜んで受け入れよう」

「…こんな理不尽に選ばれて、恨まないのですか?」

「何、ワシが国をまとめていた時もこのような選択を迫られた時がある。この世は綺麗事では回らぬ。数人と大勢の者を天秤にかけるともある。ワシならば数人を捨て大勢を守る。今回は大勢を守る為の犠牲…と言っては大袈裟じゃがそれなのだろう?」

「はい……」

「ならしっかりせいワシならばなんともない。自分の仕事をせい」

「…はい…」

「うむ、では早速頼むかの」

「はい…それでは…」


次第に視界が白くぼやけてくる。意識が段々薄れていく…おっ、そうじゃ。


「アマテラスさんとやら、頼みがあるのじゃが」

「何でしょう?」

「妖怪の国の吉と月夜、紅葉にしばらく旅行に行くと言っておいてくれ」

「りょ、旅行ですか…分かりました。…それでは…さようならマミゾウさん」

「うむ、ではの」


このやり取りを最後にワシは意識を失った。次目覚める時にはワシは異世界とやらにいるじゃろう。

…さてどうなることやら…

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最古の化け狸おじいちゃん異世界で冒険する? 茶釜 @bunbuku10

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