第22話不気味な音

一がいち早くオカリナの謎を解き

私達に分かりやすく説明していた。

ただ、それだけではキアラの呪いまでは届かなく、キアラの奇跡の段階で、まだ始まったばかりだった。

遼は、河名一に声をかけておいて良かったと

今回改めて思っていた。


古林も、この二人の前に突き進もうとする純粋な気持ちこそが、こういった困難な事件があったときに、周りの者を巻き込みながら

解決する力を産み出すだろう。

そう考え、古林自身の気持ちも揺れていた。


「戸崎くん…」


「ん?なんか言いましたか?古林さん」


「いや、遼。なんでもあれへん」


「そうですか。明日、このオカリナを返しに神社に行きますが、古林さんはどうします?」


「ほうか。ほな、ワシも一緒に行こうかな」


一による、オカリナの説明が終わり

古林は報告書をまとめにまた県警の方へ、

遼と一は、山部邸の別宅にいつものように

床につく準備をしていた。


夜中の丑三つ時、一はすぐに寝付いたようだが、遼はなぜか寝付けないでいた。



「一、もう寝たか?」

一はこイビキをかいて寝ていた。

よほど疲れたんだろうか。


「ちょっとトイレに行くか。なんだか気温差が激しいな。夜はひんやりするよ」


遼がトイレに立ち、廊下を歩いているときだった。

ギギー、となんだか骨が軋むような妙な音が鳴り響いた。

遼は、一度外の方へ目をやるが、気のせいだったかと廁の方へ足を向けた。


するとまた、ギギー、と今度ははっきり聞こえた。

遼は直ぐに庭の方へ飛び出してみたが、

ハクビシンらしき姿がチラッと見えただけで

音がどこからしたのか、何が音をたてたのか

わからなかった。


「…なんや今の音は」


夜の静寂に鳴り響いた不気味な音は、まるでこの村に未だに留まる、キアラの魂のようなものに

お前たちのやっていることは無駄なことだ。

と笑われているようだった。









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