第11話 みんなで海。二人きりの海。②

「い一面の青い海!!。このきれいな砂浜。す、すっごい!!!!」


「確かにこりゃすごいな」


「あらあら、本当にきれいね。私も高ぶっちゃうわぁ」


 水着に着替えて、そしてホテルを出た私達3人は、その前に広がる青く輝く海と、白い砂浜を眺めて興奮していた。


「咲ちゃんも、みんなも、はしゃいじゃってるわね」


「ふふ、お嬢様、神埼さん、柊さん。あまり遠くへは行ってはいけませんよ!!」


 そんな私達を見つめるのは、後ろで傘を立てるお母さんと水瀬先輩である。二人ともサングラスをしてバスタオルを羽織りながら、準備をしている。


「しっかし、咲のは結構地味だな。もっと派手でもいいんじゃなかったのか?」


「あたしはいいの、そんなにこだわりないから。むしろ麻也香ちゃんは大胆すぎ。布小さくない?」


「動きやすくていいだろ」


「天音ちゃんなんかは、しっかりおしゃれな水着で来てるんだよ」


「そんなによぉ〜」


 みんな個性的な水着を着てきている。私は、落ち着いた水色の水着だ。胸元が丸っこい横長の帯状のタイプで、真ん中にリボンがついてる。これを先輩に見せたとき、めちゃくちゃ写真取られた。


 麻也香ちゃんは、言葉でも行ったとおり、すごく布が少ない物だ。色は派手な赤のマイクロビキニだ。私が今言った通り、胸とパンツを覆う面積がすごく小さい。大胆派手好きの麻也香ちゃんらしい。


 そしてのんびり屋の天音ちゃんは、ホルターネックと呼ばれる種類の水着だ。紐を背中ではなく首の後ろで結んで固定するタイプのもので、色は薄い黄色。天音ちゃんの雰囲気にあって、なおかつおしゃれさを感じる代物だ。そしてなによりお胸が大きい。


「くっ、こんなに胸ばっかり育った乳だるまの何がいいんだよこの!!」


「きゃう。ち、ちょっと麻也香ちゃん!?」


 それに嫉妬した麻也香ちゃんはその醜い感情を糧に、天音ちゃんのおっぱいを後ろから揉みほぐしていた。あわれだ。



「お嬢様方、気持ちはわかりますが、日焼け止めなしではお肌に障りますよ。早く日焼け止めしないと」


 すると先輩が、今まで羽織っていたバスタオルを離して水着姿を露わにした。


「ひゃああぉお!!!」


 思わず奇妙な声を出してしまい、両手を口に当てて先輩の姿に感動していた。一度は見たけどやはりその美しさは際立ってる。


 その水着は部屋で見せたフリルビキニ。黒色の上品さを出して、先輩の大人の魅力にマッチしている。夏の日差しも相まってか、とても綺麗で美しくて神々しく私の目に映る。この世に女神が舞い降りたのではないかと。



「うん、はじめて先輩の前にいる咲見たけど気持ち悪いな」


「ちょっと、引いちゃうねぇ」


 外野がうるさいがそれは気にしてじゃいけない。ただただこの砂浜に舞い降りた女神をこの脳に焼き付けなくては。


「あ、そうだ先輩。私はいいです。天音とさっき部屋の中で塗ったんで。とりあえず、しばらく海に入ったりして日焼け止め流れたらまたそっちに塗りにいきます」


「わたしたちは、先に遊んでいきますので」


 そんな中、麻也香ちゃんが先輩に声をかける。どうやら既に日焼け止めを塗っていたらしい。


「えぇ、ふたりとももう塗ってたの? はや」


「まぁそういうこった」


「ふふ、じゃあ咲ちゃんは先輩とごゆっくりと」


 そんな事を言って、二人は持ってきていたビーチボールを片手に、そのまま砂浜に設置されていたビーチバーレーコートに行ってしまった。


「ごゆっくりって、天音ちゃん。私と先輩の関係を楽しんでないかな?」


 最後の発言を不穏に思いながら、日焼け止めを塗ってないので先輩のもとへと向かった。





「さて、私も実は部屋で塗ってたから、二人に混じってくるね。じゃあ華蓮ちゃん、咲ちゃんをよろしくね」


「はい、お母様」


「え、お母さん行っちゃうの!?」


 立てられた傘の下に着くと、それまでゆっくりとしていたお母さんが立ち上がる。そして二人の元に行ってしまうの言うのだ。


「私がいたら何かと邪魔かなぁってね。愛は育むもの。まぁ頑張りなさい」


 ぱちんと片目をウィンクするとお母さんもそのままビーチバレーコートに行ってしまった。そしてそこには先輩と私だけが残された。


「お、お母さん余計なことを」


 いや余計ではないけどあからさますぎて腹が立ってくる。まだまだ先輩と二人っきりは恥ずかしいのに。


 先輩を横目でちらっと見るが顔は少し赤い。そして先輩も偶然こちらを見てきて、視線が合う。そして思わず顔をそらしてしまう。


(あぁ、なんで目線反らすの私!!? 先輩も気まずいじゃん)


 そんな事をモヤモヤ考えていると、次は先輩の方から声をかけてきた。


「あの、お嬢様」


「は、はい!?」


 相変わらず変な声を出してしまう私。全く進歩してない。とりあえず返事はすることにした。


「なんですか。先輩!?」


「いえ、その私、実はまだ日焼け止めを塗っていないんですよね」


「え!?」


「だ、だから」


 先輩は顔をさらに赤く染めていく。


「私に日焼け止めを塗ってもらってもいいですか?」


「えぇ!?」


 衝撃の発言。いや、ごく普通のことだけど私とっては大事件である。


「だめでしょうか?」


「い、いやそんなことないです」


 やりたくないわけはない。ただ先輩の体に触れるのはなんだか罪悪感がある。でも断るわけにはいかない。


「で、ではお願いします」


 すると先輩は上の水着の紐をほどいて、敷いていたカバーの上に体を寝転がす。胸の部分は完全に外すのではなく、体の正面だけに敷いている感じだ。しかし、横からはむにゅうとつぶれたおっぱいが見えてしまう。


(や、やばい)


 エロすぎる。こんな先輩の姿を見れるなんて幸せすぎる。


「お、お嬢様。お願いいたします」


 先輩は恥ずかしそうに私に声を投げかけてくる。私に見られるのが恥ずかしいのかな。最近になって攻め側だった水瀬先輩だったが、変わってきた気もする。


「わ、わかりました」


 私はとりあえず、両手に日焼け止めをたっぷりとかけて先輩の背中に触れた。


「ひゃう❤」


「す、すいません!?」


 先輩の声に思わず、私も声を荒げてしまう。


「お嬢様、申し訳ありません。少し、ひんやりしたもので。も、もう大丈夫です」


「そ、そうですか」


 すっごくエッチな声を出したように感じたけど、気にせずに行こう。


「では行きますね」


「は、はい」


 私は先輩の頷きとともに日焼け止め塗りの再開を始めた。


 まずは背中。広げて、まんべんなく塗っていく。先輩の肌は本当に柔らかくて、色もきれい。触っていてこちらも心地が良い。


「はぁ、うぅん❤」


 先輩は肌が敏感、私が手で撫でるたびに少しぴくぴくしてる。


 次は脚。肌のハリもそうだが引き締まった感じがある。しかもとても長くて憧れてしまう。しかしこのときでも先輩は少し震えている。ちょっと心配になってくる。


「せ、先輩大丈夫ですか?」


「は、はい。少し触られるのは苦手で」


「そ、そうなんですか。へぇ」


 触られるのが苦手なのか。それを聞いた瞬間、ちょっとイケナイ感情が目覚めてくる。次はお尻。ここも少し水着のパンツをずらしつつ、塗っていく。


「お、お嬢様!?」


「な、なんですか、先輩? ここも塗らないと、い、いけませんよね?」


 流石に水着をずらしてまで塗るとは思ってなかったらしく、先輩は困惑している。


「ほら、先輩今度は仰向けになってください」


「あ、は、はい……」


 先輩は戸惑いながらも私の言葉を受け入れて、しっかりと仰向けになってくれる。ただブラはしっかりとかぶせて胸を隠している。私はそうなったことを確認するとまた手にたっぷりと日焼け止めをかける。


「まずはお腹ですね」


「ひゃう❤」


 たくましくてほどよく腹筋がある。正面を見ると本当にモデル体型である。私はそんなことを思いながら、日焼け止めを塗るのを続ける。だけど先輩はずっと弱々しく可愛げのある声を出しており、ますますそそる。


「先輩、お腹弱いんですね。でもまだ残っている場所がありますよ?」


 口元を歪ませて、先輩の反応を楽しんでしまう。だってこんなに感じの先輩も珍しいし。


「ひゃう、お嬢様そこは!?」


 私は次に水着の上の部分、すなわちの胸の所に手を伸ばす。当然ながら先輩は私の手を抑えたが、私に色んなとこを触られて動きを封じられている。そんな状態で敵うはずもなく、私の侵入を許してしまう。


「胸も女性な大切なところですよ。しっかりと日焼け止めを塗らないと」


「ひゃ、あはぁ、お、お嬢様!?」


「ふふ、先輩って敏感なんですね。こんな声出しちゃって。いつもは先輩の方から私にいろいろとしてきますけど、もしかしてされる方が好きだったりして」


「ふあぁ、お、お嬢様はげし」


 私は体を密着させながら手で胸をゆっくりでなおかつ大胆に撫でていく。そしてかわいい先輩をますますいじめたくなる。でもここらでおしまいにしよう。この先は本当にいけない。


「は、はい終わりましたよ、先輩。水瀬先輩ってかわいい一面もありますよね❤」


「お、お嬢様のい、いじわる」


 少し拗ねてしまった水瀬先輩を私は愛でるように眺めていた。





 余談だけど私の番で仕返しされたのは言うまでもなかった。

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