第51話

ちくしょう…



めぐに泣くなって言った俺が泣いてどうするんだよ…



めぐ…ごめんな…





「…なんだぁ…RAGGA CATにはそんなに大切な人がいたのかぁ…

幸せもんだなぁその男は…まったく、こんないい女を放って置いて一体何をやってるんだか…みんなも惚れた女の為にケジメつける所はしっかりつけましょうね…」




RATさん…




「…とまぁ、出演者も全て終わって…ここで終わり…










と思いきや、最後にもう一つイベントが…







この中でレゲエ面白いって思ったひとー???」




またしても沢山の手が挙がった




「じゃあ…






実際に歌って見たいひとー???」






…えっ








「実は、前もって許可を貰っているので、この中で歌ってみたい人がいたら手を挙げてくださーい!!!」






RATさん…




他の出演者達も続々とステージに現れた。





そして、みんなが俺を見ていた。





ちらほらと、目立ちたがり屋達が手を挙げていたけど、RATさんは見向きもせずに俺を見ていた。そして、その視線が俺の手を挙げさせた。



「はい!!!ではそこの山梨産まれっぽい顔した人!!!」




工場の担当のオヤジの顔を見ると、少しためらいながらも手招きをしてくれた


そして俺の横についてステージまで俺を連行した。





「良い仲間を持ったな…」



オヤジがぼそっとそう言った。



これで二回目だ。裁判所以来、俺はバビロンも人間なんだなって思ったよ。



そう、音楽は人を動かすんだ。










ゆっくりとステージにあがると改めて近くでみんなの顔を見る事が出来た。


みんな歯をくいしばっていた。


目が充血していた。




俺は深々と頭を下げ




『ごめんなさい。ありがとう。』




というのが精一杯だった。







めぐの顔は見れなかった。








「…それでは何を歌いましょう???思った事をそのまま音に乗せて喋ればいいだけですから…そうですね…ここに入って学んだ事や気付いた事、それをみんなに聴かせて欲しいですね。いけますか???」





RATさんはそういうといきなりマイクを置き、俺に耳打ちした。




「新曲…出来てるよな?出来て無かったらもう出てきて歌わせねぇからな」



『…聞いて下さい。』






「TOY…」





「TOY!!!」






わかったよ…聞いてくれよ




突然の出来事に異様な雰囲気に包まれた会場に






ゆっくりとlife seed riddimが流れ始めた

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