　目が覚めた時、昨日フランスに居たなんてと思った。

　他の観光地や名所に行っていなくて物足りない、と言う気持ちはないがモヤモヤとした不思議な感情が胸の中にある。

　知識は無いが経験はあると言う事はこんな感じなのだろうか。

　そんなことを考えながら朝食の支度をしていると、インターフォンが鳴った。

「おはようございます。今日のログインボーナスはアヤメです」

　そう言った配達員さんの手には一輪の白い花が握られていた。

　白いアヤメの花は、純粋、優しさ、神秘的、と言った言葉が込められているそうだ。

　これはログインボーナスなので特に意味合いはないのだろう。

　そう考えていたら配達員さんに、一輪の紫の花が生けられた花瓶を手渡された。

「一輪だけでは寂しいと思いますので」

　先に頂いた白いアヤメを、貰った花瓶に指した。

　二輪の紫と白色のアヤメが生けられた花瓶は、当分、机の上に飾っておくことにする。

　紫のアヤメの花ことばの一つに、信頼と言う意味が込められているらしい。

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