第56話 家のトイレで読んで欲しい
僕は自他共に認める「お腹弱い民」である。
過度なストレス、NG。
溜まった疲れ、NG。
辛いもの、NG。
生っぽい肉、NG。
酸化した油、NG。
とにかくデリケイツな胃腸をしている。とても面倒臭い男だ。
だからそんな僕にとって、家のトイレは
あぶら汗と各所の痛みと格闘しながら、スマホをいじったり読書をしたりする。緊張と安寧が共存する稀有な場所だ。
僕はトイレの平均滞在時間が人より長い。
だからこそ、長丁場的な用を足すときは家のトイレでありたい。次点で実家のトイレだ。他にはもう、安堵しながら思う存分に羽を伸ばせるトイレは存在しない。というか、あってはならない。
今回のタイトルがどうして「トイレ」だけではなく「家の」なのか。それは我々「お腹弱い民」からの切なる願いでもある。
駅やデパート、公共の各所トイレで長居をしないで欲しい。僕は切に願う。
もちろん家のトイレは憩いの場所であってもいいと思う(もちろん家族に迷惑をかけない程度に)。しかし公共のトイレは仮の場所だ。あくまで急場凌ぎなのだ。そして、誰もがその急場凌ぎを使いたがっていることを忘れてならない。
例えばどこかの公共のトイレ。アナタがソシャゲに夢中になり、スマホの電池をすり減らしている時、扉の外で腹痛と闘いながら精神をすり減らしている誰かがいるかもしれない。
例えばどこかのトイレ。アナタがYouTubeで誰かの動画に高評価を付けている時、扉の外でアナタに向かって低評価ボタンを連打している誰かがいるかもしれない。
例えば例えばどこかの多目的トイレ。もしもアナタが、用を足す以外のナニカをしていたら。それが原因で一人の大人が尊厳をこともある。もしくは尊厳を失うのは二人かもしれない。あるいはもっと多くの人に迷惑がかかるかもしれない。
何がいいたいのかと言えば、公共のトイレを本来の使用目的以外で利用するのはやめて欲しいということだ。
かくいうコレも、自分の家のトイレで書いている。腰を痛めないように姿勢を正し、全身全霊でこのエッセイに挑んでいる。
もちろん、妻が使いたいというノックが聞こえた瞬間、秒速で出て行く所存だ。
僕は今日、全世界のお腹弱い民の代表として言いたい。
頼むから、公共のトイレで、必要以上に長居をしないで欲しい。アナタの暇つぶしが誰かを窮地に陥れている可能性があるのだ。分かっていただきたい。
しかし例外もある。
同じお腹弱い民が前日の飲み会で無茶をした結果、致し方なく籠城している、これは構わない。誰にだって飲まなきゃいけない夜と酒がある。
日々上昇し続ける気温の中で、つい保存方法を見誤ってしまった食材を使い食べたあの料理のせいで籠城してしまった、これもまあいいだろう(本当は病院ないしすぐさまの帰宅を提案するが)
あくまで僕が許せないのは本来の使用目的以外での籠城だ。ゲーム?YouTube?Netflix?違う違う。そんなことの為に作られた施設ではないのだ。おせっせなぞ言語道断。まこと愚かの極みである。
トイレってのは、もっとこう、安心できる空間でなくちゃあいけない。静かで、清潔で、誰にでも優しい、そんなところでなくちゃあダメなんだ。
もしゲームなんぞやっている輩を見つけたら、腹痛を堪えてアームロックをかけてやる。その後、僕のパンツがどうなろうと知ったことではない。トイレで英雄のパンツが汚れていても、それを蔑む者はいないだろう。
冗談はさておき。本当にお腹弱い民からすると死活問題なのだ。
誰も使っていない時間帯の会社のトイレとかなら百歩譲っていいとして。とにかく駅や小さな商業施設のトイレでの不要な長居はなるべくやめていただきたい。それは家のトイレでするべきことだ。
先程から真剣な眼差しでコレを書いている。だからこそ、このエッセイは是非真剣にトイレで読んでいただきたい。必ず家のトイレで。もし出先にいるなら、トイレ以外の場所で真剣に読んで欲しい。
ゆっくりと、リラックスして。フラットな気持ちで読んで欲しい。
激痛に苛まれ、額にあぶら汗をしこたまかきながら駆け込んだ駅のトイレ。もしもそれが全て埋まっていた時、アナタはその絶望感を味わったことがあるだろうか?
僕はある。何度も。何度も。
僕は誓う。
もしも公共のトイレで不貞をはたらく輩がいたら、絶対に許さないことを。明らかに寝息が聞こえるトイレのドアの前で、「もうダメだ」という顔で泣いている人がいたら、必ず助けてあげることを。
お腹弱者の為には施しを
間に合わない者には花束を
芯だけの紙をゴミ箱へ投げ
悪漢共には死の制裁を
しかして我ら聖者の列に加わらん
TOTO・便器の名に誓い
全ての不義に鉄槌を
ブラックラグーン、早くアニメ4期が見たいです。
下寄りの雑談でした!ありがとうございました!
次のグルメ王に、俺はなる!
続く
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