51 けたたましい鈴の音

今日不思議なことがありました。


3階建てのビルの1階で仕事をしている最中、チャンシャンチャンチャン!と束ねられた幾つもの鈴が

激しく振られているような音が聞こえました。

ちょうど頭の上、斜め後ろぐらいから。


音がだんだんと大きくなったので、恐らく2階から誰か降りてきてるのだろうなと

階段の方を見ますと、

たしかにがたいの大きい上司が

のしのしと降りてきていました。


しかし、彼が階段を降りきった時には

鈴の音が止み、

代わりにスーツの布地が擦れる音だけしかしなかったのです。


上司の全身を観察しましたが

彼はどこにも大量どころか一つも鈴を身につけていませんでした。


変だなぁ、確かにしていたのにと首をかしげましたが深く考えることなく一日の業務を終えました。


終業後、やけに今日は眠かったから家に帰ったらすぐに寝ようと駅に向かいました。

見慣れたごった返す改札口で切符を買おうとした、その時。


チャンッシャンチャンチャン!


職場で聞いた大量の鈴の音が背後から聞こえました。


驚いて振り返ると、

後ろに並んでいる人はおらず、

通り過ぎる人達も鈴なんて身につけていませんでした。


そしてまた、音を聞こう、正体を暴こうとすると、鈴の音が消えるのです。


2回も聞こえた鈴の音に少しゾッとしました。

神社で鳴らす神楽鈴のような音とは全然違って、聞いてると少し不安になるような感じの音でした。


猫が嫌がって鈴のついた首輪を引っ掻いた時に鳴るような、あんな感じの音です。


関係あるか分かりませんが音を聞いてから暫く右耳が痛く、

帰宅して自分の部屋に入った際はリーンと耳鳴りがしました。

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