13 姉のマンションで


霊感が少しあり、

様々な体験をされている藤原さん。



彼女が、

「これは番外編なのですが…。」と

まるで小話のようにさらりと教えてくださったのがこのお話。





彼女には3つ年上のお姉さんがいらっしゃいます。


小さい頃からくっついていっては

遊んでもらったりと大変仲良しで、

大人になった今では親友のような関係なのだとか。




今から17年前のこと。


当時、8歳の男の子と7歳の女の子を女手一つで育てていたお姉さん。

 

できる限り助けたいと

お姉さんの住んでいるマンションに

よく泊まりに行って子育てや家事のお手伝いを

していました。



仲の良いお姉さんに会えるのに

藤原さんは重い足取りでした。


何故かというと、

その理由はマンションにあります。


入った時から漂う変な空気、

湿気が多くどこか落ち着かないのです。





ある日のこと。


その日もお手伝いをして、お泊まりをする日でした。


寝室として使っていたのはお姉さんのお部屋です。


玄関入って左にあるのは甥っ子さんの部屋。

そのすぐ右隣にある和室がそれで、

お姉さんが寝るベッドの隣に布団を敷き

すやすやと眠りにつきました。




夜中、1時を回った頃でしょうか。



目が覚めて視界に入った襖、

それが突然にスーっと開きました。


そこに立っていたのは、男の子でした。


暗くてはっきり見えませんが、

どうやら普通の部屋着を着ているようです。



(長男君が起きてきたのかな?)

と思ったのですが、

時間も時間でしたので


「どうしたの?早く寝なよ。」と、

布団で仰向けになったまま、

声をかけて部屋に戻るように促しました。



すると、男の子はまたスーと襖を閉めたのです。




その翌日、

長男君に昨晩はどうしたのかと尋ねました。


ところが、彼は夜中起きていないし部屋にも行っていないと言います。


(じゃあ、覗いてきたあの子は誰!?)


驚いてお姉さんに伝えると、

まるで分かっていたかのような落ち着いた態度でこう話しました。



「あー、やっぱり?

 子供かどうかは分からなかったけど、

 寝ている時にたまに横で

 青い塊みたいなものが動いていることが

 あって気味が悪かったんだよね。」


そんな不気味な体験を

平然とさらっと言われたそうです。





「金縛りに遇わなかったし、

 男の子の雰囲気も不気味じゃなくて

 本当に普通に見えたので

 長男君だと疑わなかったんです。

 でも、あの時見た男の子は

 思い返してみれば長男君より

 少し小さかったですし、

 襖の音しか聞こえなかったです。

 立ち去る足音や、隣の部屋のドアを

 開ける音すら聞こえなかったんです。

 無音でした。」






今もそのマンションにお姉さんは住み続けているといいます。




年を越したら引っ越すとのことですが、

それまでの身が案ぜられると

藤原さんは心配していました。




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