第12話 自然に囲まれたキャンプ場

木をメインで使っていて、木特有の暖かみ

で溢れており、昔ながらの薪を使った暖炉

もそれを際田立たせている


「美味すぎる!」


そんな素晴らしい室内で一人アイスを食べ続けるゴリラがいた


「お前良くそんなに食えるな」


店員さんも注文もんを受けるたびにまたこの人かと苦笑いを浮かべていた


「仕方あるまい、こんなに美味しいのだ」


現在大地はアイス全10種類のそれぞれの味のコンプリートを目指して食べ続けている


「腹壊しても知らないぞ?」


「美味しい物はいくら食べても腹は壊さないんだ、知らなかったのか?」


あたかも当たり前とゆうように、真顔で聞いてくる


「知らないも何も、変なでっち上げ作らないでくれ」


「でっち上げでもなんでもない、ほらテレビでも超次元現象である、カロリーゼロ化があるだろ」


「それはまた別の話だ」


大地が食べるのが終わるまで暇なので

テーブルに置いてあるパンフレットを

読み進めていく


「しかしこんなに美味しいのならもっといろんなところで売って欲しいな」


「確かにな」


こんなに美味しいものを毎日食べられたら

どれだけ嬉しいことか


「なあ大地、ちょっとこれを見てくれ」


大地の方にパンフレットを見せ、気になっているところに指を刺す


「なになに、カップル御用達、しあわせの鐘?俺たちにはまだ早くないか?」


「ちがう、そっちじゃない!こっちだ!」


何が悲しくて男とカップル御用達の幸せの鐘を突かなくてはいけないのだろうか


「なになに、キャンプエリア…ここはキャンプもできるのか」


「ああ、そうらしいだが今日は道具もないし

こっちはどうだろう?」


コテージの方に指を向ける



「コテージかいいな」


「なあ今日コテージに泊まっていかない?」


「いい案だ、泊まろう」


さっそくグループにメールを書き込む

しばらく見守っていると、それぞれ親から

許可をもらい準備を整え始めるようだ


「これで心置きなく食べれる!」


勢いよく立ち上がる

何だかんだ言っていたが、大地を見ているうちに自分も食べたくなってしまった


「結局お前もか、一緒に行こう」


大地もちょうど食べ終わったようで

一緒にアイスが入れられているケースへと向かう

ケースの中には、十種類の色とりどりの

アイスが缶の中に入れられている

その中から一つ気になるものを見つけた


「なあ大地これどうだと思う?」


「これはハズレだろう、コーヒーココア味なんて誰が食べるんだ?」


旅行先でたまにいかにも外れなものが置いてあることがある

しじみ味、に炭味、そしてずんだ

どれも特徴的な味だった


「しかし大地、今回の大地の目標はコンプリートだし避けては通れないと思うんだ」


人生避けては通れない様々なことがあるだろう、今がその時だと思う


「いやいや待て待て、時には人生逃げることも必要だろう?」


「よし分かった、なら一緒に分かち合おう!

実際僕はこれを少し食べてみたい、半分こだ」


「それならまあ」


店員さんに注文する時に、店員さんが

こいつ何考えてるんだって目で見て来たので

味は確信した

中和するように他のも何個か頼み、アイスを席へと運ぶ


「さて、幸田早速食べてみてくれ」


「何で僕が!?」


「いや、ここは言い出しっぺから食べるべきだろう」


そう言われてしまうと返す言葉もない


「確かにね」


スプーンでアイスを救い上げる

見た目はチョコレートアイスのように

美味しそうなのだが味の方はどうなのだろうか

口に入れた瞬間、電流が走る


「こ、これは!」


コーヒーの強い苦味が口の中に広がったかと思うと、ココアの甘みが駆け巡る


「ぐはっ!」


まるで冒険者のような言葉を残すと

机に倒れ込む


「幸田!大丈夫か!?」


大地が急いで駆け寄ってくる


「これは…人の…食べ物じゃない」


「そんなにか」


そこに綾香と青木が帰って来る


「なになに、美味しそうなの食べてるじゃん」


状況を知らない青木が駆け寄って来る


大地がニヤリとすると、近くにあった未使用のスプーンを渡す


「そうなんだ、とても美味しんだ

是非手べてくれ!」


「へーそうなの、じゃあいただくわね」


「大地…」


避難の目を向けるがそんなのお構いなしのようだ


「ぐはっ!」


今度は青木がモンスターに切られたかのように倒れる


「鈴!?」


綾香が急いで近寄り支える


「はかったわね!」


悔しそうに睨め付ける青木の目線を、大地は

軽く受け流す


「計画通りっ!」


どっかのノート保持者のような事を

ニヤリとしながら言う


「なに、そんなにまずいの」


興味本位に綾香が口に入れる


「綾香ぁ!!!!」


急いで止めようとするが間に合わない


「え、意外と美味しくない?」


「「嘘」だろ」 でしょ」


あまりのことに俺と青木は言葉を失う


「私おかしい?」


首を傾げ全く分からないっと言った感じだ

全員の行動が止まっているその隙に

青木が行動を起こす


机に乗っかているカップを持ち上げ大地へと向かう


「ほら、あんたも食べて確かめなさい!」


大地のポカンと空いた口を目掛けて青木が

アイスをぶち込む


「グアああああああああああああああぁ!」


まるでラスボスのような声をあげ倒れて行く


「おのれえええ!」


そう言い残すと大地は意識を失い

その場にクズれ、意識を失った


「これで終わったわね」


青木が一仕事終えたようにふうっと

汗を拭う


「なによ、この状況は」


そこに雫先輩が歩いて来る


「魔王を…倒しました…」


「訳がわからないわ鈴さん」


雫先輩はやれやれと、頭を抱え

水沢先輩は笑い転げる


一通りさっき起きた惨状について説明する


「そんな不味いものが売り物になるはずないじゃない」


「いや、そのはずなんですけどね…」


あるものはあるんだから仕方ない


「だいたい大袈裟なのよ、私も頼むわ」


「先輩!それまじでやばいですって!」


「ダメだったら、柳沢に食べさせるわ」


そんな事を言いながら先輩は買ってきてしまった


「どれ、いただきます、うっ!」


毒でも守られていたように崩れ落ちる


「何だこの茶番劇」


「柳沢、食べなさい」


「え〜やだよ何で僕が?」


「いいから、みんな食べたのよ?」


「じゃあ一口だけ」


そう言うと嫌々そうに受け取り、口に運ぶ


「っう!」


さすがと言っていいだろう、強靭な

メンタルで正気を保つ


「何だこれは、もう食えないぞ!僕は!

幸田先輩命令だ、食べろ!」


「いやですよ!」


それ食べるくらいなら、裸で学校を

走り回った方がマシである


「あの〜私食べていいですか」


恥ずさしそうに綾香が手を上げる


「え、いいの?」


「はい、私それ好きなので」


水沢先輩は綾香の食べる様子を

ありえないものを見るような目で見る


「なあ幸田」


「なんですか先輩」


「世の中いろんな女の子がいるんだな」


「そうですね」


そう言うしかなかった


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