第6話 新しい日常

「う〜緊張する〜」


キャンプから帰って1日の休みを過ぎた今日

嬉しくも悲しい高校生活2年目がスタートしてしまった

幸いに今日の天気は晴れで初日からやる気を奪われずにすんでいる


「なんて言っていいか分かんないけど、なんと

かなるって」


「もう、いい加減だなぁ」


口をぷくっと膨らませる


「いやだってさ、あいつらとあんなに早く馴染めたんだから大抵は大丈夫だと思うよ」


「そうかな」


「そうだよ、仮に俺らと違うクラスだったとしても顔は出すし、放課後は会えるだろ?」


部活の同級生全員今のところは全員同じクラスなのである

うちの学校でのクラスは5クラスありその中の一つに当たらなければいけないわけだ


「そこら辺は大丈夫だから心配ないよ」


「え?」


「だっておじいちゃんに頼んで、最初から同じクラスにしてもらってたし」


「え?」


やばい、ただでさえ少ない語彙力がさらに

減少傾向にある

いや、今はそれどころでなく


「それってどうゆう?」


思わず上擦った声で聞き返す


「ふふ、禁則事項です」


「だ〜またそれか!」


「女の子には少しくらい、秘密があった方が可愛いと思わない?」


小悪魔めいた笑みを浮かべる


「降参だもうこれ以上聞かないよ」


ため息を吐き両手を上げる


僕の知らないうちに彼女はどんな経験をしたらこうなるのだろうか、全く予想できない


「もしかしてそんなに男の扱い慣れてるとか、彼氏居たとか?」


「そ、そんなわけ無いだろ!」


「本当?」


「本当だよ!」


でもテンパった時の口調は昔のまんまなの

がまたなぁ

何となくチグハグな彼女の性格が気になる


「それよりさ、なんかさっきから凄く、赤石君男子から睨まれてるんだけどなんかしたの?」


「え?まさか」


周りを見渡してみると確かに男連中に睨まれている


「おかしいな、身に覚えはないんだけど」


「やっほう、おはよう2人とも!

2人そろっての登校なんて朝から見せつけてくれるねぇ」


手を口元に運び、ニヤニヤと笑う


「違うよ鈴そんなんじゃ無いって!」


「あ」


そうゆう事ね


「違うんだ花下さんの家がたまたま家が近くでまだ道が分かんなさそうだったから送ってあげただけだよ!」


「あ、そう残念」


「まだチャンスはある訳か」


そんな小さな呟きはすぐに春風に運ばれてしまった


「なんか言ったか?」


「いやさ、それだったらさっさと周りの男どもの誤解は解いといた方がいいよ」


「そうだな、教室に着いたら早速男どもの事情聴取だろうしな」


教室の中でも非リアの一等星に輝いて居る

それゆえ、男達とのその手のつるみは多いが

逆にそれが裏目に出てしまうとは


「青春って恐怖だね」


「ごめん、ちょっと何言ってるのか分からないかな」


「だよね、俺もそう思う」


でもいまの俺にはこれ以上の言葉は無かった




「よ〜幸田君〜元気にしてた〜?」


「本当、久しぶりだね〜」


クラスについた途端、今まで彼女なしを貫いていた同志達が明るく話掛けてくれる

決して目は笑っておらず、何やら指をパキパキ鳴らしているが


「お〜みんな元気にしてたよ!それよりみんなに先に話しておきたいことがあるんだ!」


「ほ〜俺たちに話とは、惚気話かな?

それとも自慢話かなぁ?」


普段は気さくな奴なのだが打って変わって粘着質な声で聞いて来る


「いやまさか僕がそんなのある訳ないじゃないですか、やだな〜」


「ほ〜じゃあ校門で楽しそうにしていた女の子はどこのどちらさんなので?」


今度は柔道部のがたいが良い野郎が近寄ってくる



「えっと〜転校生でね!道教えてたんだよ

うん!」


「それにしちゃ、随分と仲良すぎじゃあ

ないかなぁ?」


今度はラグビー部だ、やべえまじで学校生活終わる


「いや、たまたまそう見えただけだって!」



「連れてけ」


ドスの効いた声が周りに響く


「「「「「へい、親分」」」」」


「まて、話せば分かるって!」


ほんとこんな時だけ仲良んだから困ったクラスだ

その後涙目で担がれて運ばれて行く途中で大地に出会った


「おはようみんな、幸田なんか担いでなんか良い事あったのか?」


「おう、聞いてくれよこいつ朝知らない可愛い女の子と登校してきあがったんだ」


「違うんだって、大地からも説明してくれよ!」


「仕方ないな説明してやろう」


板についているメガネをクイっと掛け直す


「まず第一にこいつの性癖はロリコンだ!

そして、オタクコンテンツとアウトドアにしか興味がない!

こいつなどに彼女などできる訳ないし、先生に頼まれて登校しただけだ、その噂の彼女とやらにも聞いてみろ同じことを言うはずだ」


こう断言してしまえば信憑性は高くなるし

確認を取られたとしてもその前に大地が上手にその事を伝えてくれるのだろう

ここまで心強い友はなかなか居ないが同時に

俺の大切なものも対価として取られた気がする


「何だ勘違いか」


「勝手に間違えて悪かった、これからも俺たちベストフレンドだよな!」


「俺らの友情はこれからも不滅だ!」


「そうだよな!幸田に彼女なんて出来るわけがない!」


「さあ立てよ、これからも一緒に歩こうぜ!」


「さらなる高みを目指して、みんなで一緒にな!」


急に目を輝かせ、男同士の熱い友情を語り出し始めた


「お前らふざけんな!落ちがわかった瞬間これか!」


「てへ!」


「てへ!じゃねーよ!女がそれやるから可愛いんだよ!」


「まあまあ、悪かったって、牛丼奢るから許せ」


「許せっか!」


何だかだ騒ぎながら教室に戻った

しかし、どうゆう形であれ助けてもらった

大地には後でなんらかの礼をせねばなるまい

高くつかなければいいが…

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