第6話 オーディション

 私は明日、オーディションがある。

 先日インタビュー記事を立ち読みしたアイドルが主演するドラマのクラスメイト役だ。


 今回のオーディションは東北の高校生限定だ。

 ドラマの舞台が東北だからという理由と、もう一つある。

 普段こういった機会の少ない子達のフレッシュさを求めて、東北限定にしたらしい。

 役柄は、主演のアイドルと一瞬だけ会話をするクラス一の素敵女子という設定だ。

 そして素敵女子ルックスだけれども芯が強く、自分の事を「自分は」と言うボーイッシュな部分もある設定だ。


 それに選ばれるために何をもって【素敵女子】なのかを観察してきた。

 自分の事も「自分」と言い慣らしてきた。

 オーディションの時に自然に「自分は」、と話し始めれば印象も良いだろう。


 瀬戸友里は素敵女子に分類されるだろう、一見。

 何故なら彼女は、他人にどう見られるかを気にしているから。


 朝日未華子は自分の振る舞いに重きを置く。

 自分の核をしっかりと持っている、芯が強い。


 ファッションと行いにも表れている。


 寒くても機能が悪くても見た目重視の瀬戸友里。

 誰かに見られている時に発動する他人への気遣い。


 あくまで自分の好みと機能が重視の朝日未華子。

 他人が見ようと見まいと、自分のやりたい事をやる精神。


 この二人を合わせると、まさにオーディションの役柄に近い女子になる。


 絶対に私が合格する。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

オーディション 青山えむ @seenaemu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ