第5話 ドラキュラさんは今日も生きにくい

「有難う御座いました..。」

結局内から外から身体を焼かれ浄化寸前にまで至った。病院の帰りにだぞ!

「私には夜がお似合いという事か」

太陽は何故私を恨む?


「考えたって仕方ないんじゃない?」

確かにそうだが、だとしても余りに世界が厳し過ぎやしないか?...て。

「うわっ!」「何驚いてんの?」

「店長なんで突然」

目障りなスケベ淫魔が何故ここに!

「荷物取りに来ただけ〜!

そしたらー、キミが暗い顔してた♪」

「そうですか..」

男なら誰でもいいのかっ‼︎


「見てみてホラ!

わたしの新しいオトコ!」

「..なんか、ガッシリしてますね。」

「そうなの!肩幅最高よ!?」

フランケンか、また偏った処をいくなこの女は。

「うーん..ドラキュラくんはないな!暗すぎる、もっとオシャレしたら?」

「……。」

聞いてもないのに何故に言うのだこういう奴は、女代表みたいに。

「それじゃあわたし行くから、お店お願いねバイトくん♪」

勝手に行けスケベ魔物..!

「突然訪れるな、焼けた胃が疼くわ」


「そんなに嫌ですか?

すみませんね、突然来て。」

「うおっ..!」

気がつかなかった。いつから居た狐!

「やはり貴方は、夜が向いていますね

何かあったらまた病院に来て下さい」

「二度と御免だ..。」

「また直ぐ来るので待ってますね」

脅しのつもりか..不利なのはお前の方だぞ。今は情報化社会、いざというときは覚悟しろ...!

「それはそうと、ここのお薬効きますよね。プロの医者が言うのでお世辞じゃありませんよ?」

「そうか..」

ヤブ医者め、どの口が言っている。


「特にこの軟膏、凄まじいですよね」

「..ああ、その軟膏はスゴイ。」

なんだ、プロではないか。

「傷に染みない成分を使用して材質が滑らかなのでよく浸透し...」

ひけらかし始めた..誰がいつお前のドクターズテキストを求めた?

「はやく帰れ..!」

「おやすみません、帰りますね?」

二度も言わせるな。

あと都合良く店に来るな、普段一度も来ないのに。


「ふうっ..。」

どうした今日は?

夜中だと言うのに客が随分と来るではないか。

「この台詞もなんだか言わされている気がするぞ」

「あー遅くなっちゃったー。」

またか、休まる暇も無いな

「いらっしゃいませ..。」


「あ、遅くまでご苦労様で..あれ?」

ん、何だ。

「先週お店に来た、お客さん?」

「えっ..」 「やっぱりそうだ〜!」

この女、飯屋のウェイトレス!

「ここで働いてるんですね。」

「ま、まぁ..。」

タイムリー過ぎる..態とか?

無様な態度を示した男に復讐か!?

「何も言わずに物色し始めたが..」


「どこかなー、ここか、違うなー。」

何を探している、いや何を企んでいる

「どこにあるんだろ?

うーん...わかんないなぁ。」

帰れ、お前の探している物は無いのだ諦めて帰宅して下さい!

「……」

なんだその目は?

「………」探せって事か?


「…………」

私がお前を導けというのか..!?

「...あった、これだ!」

見つかった様だな、持ってこい。

会計はしてやる。

「お願いします!」「......」

胃薬か、何故これが見えなかった?


「当店のカードはお待ちですか?」

「持っていません。」

だろうな、持っている筈も無い。

「作れますか?」「...はい?」

「そのポイントカードって

作れますか?」

「..はい、作れますけど。」

珍しい奴だな。

こんな店のカードを作るとは、やはり策士か?

「じゃあお願いしますっ!」

身分を提示する者を見せてまで欲しいのかこのカードが。

「どうぞ..」「ポイントカード!」

「860円になります。」

さっさと終わらせてしまおう。

「じゃあ千円で」

「千円お預かりして..140円のお返しです。」

「はい、有難うございます!」

わかった帰れ。


「あの、その後大丈夫ですか..?」

「...ああ、大丈夫ですよ。」

何だ突然?

「これ、差し上げます。」「へっ?」

この女..私の為に薬を買ったのか...?


「お店の味が、お口に合わなかったのなら..わたし作りますよ!」

「えっ..?」

「ペペロンチーノなら、得意だし。」

もしかして..誘われてる?

なんでそんなこと、気の迷いか?

何の為にそんな事をする?

正気か本気で言っているのか?

解っているのかオレ、ドラキュラよ?

「……」

「..ああ!

すみません、迷惑ですよね?

いきなりそんな事言われても...」


「いや、感謝する。」「えっ?」

「だが一つ提案だ、ペペロンチーノではなく、トマトスパゲティを作れたりはしないか?」

「トマトですか、できますよ!

じゃあ..冷製パスタにしますね?」

「次いで感謝する。」

やはりお前は良心だ、マトモだしな。

「それじゃあ..お仕事終わるまで、外で待ってますね。」

「気をつけて下さいね」「..はい。」

終わり良ければ全て良しか、成る程な


「今日は珍しく平和に事が..」

「あれ、ちえり?

どうしたこんな夜中に」

「え、お兄ちゃん!?

何でこんなとこにいんのよ〜!」

兄と喧嘩か、益々マトモな人間っぽいな。一体どんな兄がいるのだろ...

「いっ..!」

「よくここ来るんだよ、家近いから。お前こそ何しにここに?」

「何だっていいでしょ!

ね、店員さん?」

やめろやめろ、こっちに話すな!

「店員さんって此処の店員と何が..」


「いらっしゃいませー...。」

「………」

「どうしたの、知り合い?」

「......」

おのれカッパアァアァッ!!

                完

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ドラキュラさんのデメリットは拭えない アリエッティ @56513

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