第二首 バレンタインチョコ 八句

「あぁ、甘いものの話題を出した理由だったか。あのな、そろそろ"バレンタインデー"、っていう、年に一回の甘いものが出回りまくる、特別な日が来るんだよ」

 「にわかには信じ難し……。」と言葉を溢しつつ、羨望の眼差しを向ける若紫だったが、それにおれは一つ嘆息を漏らし、続きを語り聴かせる。

「普通なら、女の子が"好きな男の子"にそいつを渡すんだが、おれの場合ちょっと、"特殊"でな……」

 諦めを孕んだ上での"特殊"という言葉が入ったフレーズに、若紫の表情は先ほどの無邪気なものではなく、いぶかしげなものへと変わっていく。

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