第二首 バレンタインチョコ

第二首 バレンタインチョコ 初句。

 まだかのう、まだかのう。

 未だ口にせぬ……、いや、みさとに「手をつけるな。」と言われたわちしは、口にしたくともできずにいる甘味が熟すそのときを、ただひたすらに待ち望んでいた。

 ────あれはちょうど、二晩ほど前のことであったか……──。

 "ちょこれいと"なる土塊つちくれのごとき色をした、溶ける板をみさとが大量に持ち帰り、かと思えば、そそくさと調理場に立つなり、いつにもまして更に分量に気を配り丹精を込め、わちしがいましがた待つ、甘美なる甘味かんみを作り給ふたもうたは────。

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