第4話 冒険者登録
十歳の少女であるサンテは、それほど多くは食べられない。
必然、ロケットパンチで山盛り取った果実は余り。
このままでは無駄に取っただけで、腐らせてしまうだろう。
だがそれは、スライムが解決してくれた。
少しだけ巨大化して全ての果実を包み込むと、屈んだ鎧の外された右腕から侵入。
両者が協力する事で、果実を保存したままの移動が可能になった。
これは果実がもぎ取った後も呼吸と同様の活動をして、内部の栄養を消費するから萎れていく。
スライムが包み込む事でこの活動を減衰させ、日持ちを良くしたのだ。
これならば、果実が食せる間は食料の心配は減った。
満腹になったサンテが眠ってしまったので、鎧が持ち上げて森の外へ。
そして、どこか人里を目指して歩き始めた。
鎧に一匹の蜘蛛が張り付いていた事に、誰も気付かないまま。
地面に馬車の車輪跡を見つけてからは早かった。
三日で小さな町へ辿り着き、門と門番が見えてきた。
「止まれーっ!兜を取れ、それと身分証はあるか?」
鎧は二人組門番の年長の者から言われるまま、中身のない兜を外してみせた。
「ひぃぃぃーっ!バケモノーッ!!」
そう言って年長の門番は気絶してしまった。
「おやっさん!?おやっさーーーん!!」
年長の門番が倒れる前に受け止めた青年の門番。
彼は年長門番の背中を支えたまま、兜を外したまま固まっている鎧に顔を向けると。
「普段偉そうにしてるおやっさんが、あっさり気絶してるっす。いい気味っす。アンタ中々やるっすね」
とても爽やかな笑顔で言い切った。
年長門番を小屋に寝かせに行ってから、帰ってきた青年門番は。
鎧のあのヘンテコジェスチャーを解読してのけた。
「なるほどなるほどっす。だったらうちの村には冒険者ギルドしかないんすが、そこで登録してけばいいっす。登録料は鎧さんがガシャガシャジャラジャラ鳴らしてる魔石があれば、多分何とかなるっす」
カクカク、クネクネ。
ガシャガシャ、ジャラジャラ。
「任せるっすよ。俺っちもギルドについてって、鎧さん等の事。受付に説明するっすよ」
カクカク。
「気にするなっす。俺っち達、もう友達じゃないっすか」
その後両者はどちらからともなく手を伸ばし、両手で硬く握手するのだった。
「ヘレンさーん。新規さん、連れて来たっすよー」
「でかしたわ、サンシター君! それで? そちらの鎧の方が登録で良いのかしら?」
「登録はこちらのお嬢ちゃんっす、多分テイマーだと思うっすよ。こっちのリビングアーマーさんと、その中にスライムを連れてるっすから」
青年門番の説明で、ギルドの受付けの女性が状況を把握。
青年門番の通訳を挟んで、鎧と会話して登録用木版を埋めていく。
「さてと。これで大体書く事は埋まったわね。あとはこの子を起こして、職業検査をしましょうか」
ギルドの受付け女性ヘレンの視線の先には、鎧の腕の中で眠っているサンテが居た。
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