第10話 (五回目)こいつ……どうやって戦うんだ? という敵キャラの登場シーンを描写してください。5

 俺たちは魔王の城を目指して旅をしていた。

 三人のグループで、俺は剣、もう一人は魔法、あとの女性は弓が得意。弓と言ってもボウガンタイプ。それぞれの得意分野で、敵う者がないような猛者だ。


 巨大な魔王の城は俺たちが住む大陸とは別の島にあり、冒険の果てに、ついにここまで辿り着いた! これから攻略すると思うと、武者震いがする。

 広い庭園を通り、門扉を開く。


「ようこそ、いらっしゃいました。私、ルシフェル様の秘書をしております、ベルフェゴールと申します。ご用向きは何でございましょう?」

 城のロビーに居たのは茶色い髪をまとめてアップにしていて、メガネをかけた秘書のような女性の悪魔。赤茶色のスラッとしたズボンに、裾が膝裏くらいの長さの上着を着ている。


「魔王と戦いに来たんだが……」

 普通の受付嬢のような対応をするので、面食らってしまった。

「アポイントメントはお取りですか?」

「へ? いや?」

 魔王と戦うのに、アポイントメント? どこでとれるわけ、それは??


「ならばまず、ご予約いただきませんと。一番早くて十日後になりますが、御都合は宜しいでしょうか?」

「悪魔と戦うのにアポイントメント!? なぜ!?」

 思わず大声で聞いた魔法使いに、秘書の女性はメガネを直して呆れるように、ため息をついた。

「当然です。貴方がた人間は、他国の王に面会するのに突然行って、会わせろと城で騒ぐのですか?」

 それは……ない。

 たしかに予約を取らなきゃならない。コネや理由も必要だろう。

 十日後の予約をとった。


「では三日前までに、挑戦の代金として五百万をお納め願います」

「ご、五百万ですか!?」

 今度は仲間の女性だ。金銭的なことは、彼女の管轄なんだ。

「当たり前です。恐れ多くも地獄の王、ルシフェル様の御手を煩わせようというのですよ。これでも安い程です」

 とんでもない! 戦うだけで金が要るのか!? これで負けたら大損だ……!

 ここでも人間の王と戦おうと言えば誰でも戦えるのか、そもそも王に手を上げようなどというのが不届きだと、コンコンと諭された。


「保険も加入できますけど?」

「やめる、やめとくよ!!」


 なんだかすっかりやる気が削がれた。

 俺たちが非常識だったのか? 常識って何だっけ……??

 俺たちは船で島を出て、帰って行った。

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