第11話 ①とりあえず読め!

 フォルダ名は【謎メモ】いかにも怪しげな名前だ。

 中のメモは12個入っていて上から順に番号が降ってあった。


 1番上のメモは【①とりあえず読め!】だったので、苦笑いしながらタップすると、【全員で読むのは大変だろうから、一人に音読してもらってください。私個人としてはタピオカにお願いしたい】と書かれてあった。


 タピオカというのはソウタの部ネームで、苗字の田岡たおかからきている。


 我関せずな顔をして、自分のスマホを弄っているソウタをキョウゴが左肘でつついた。


「田岡、お前が読めってさ」


「はあ!?めんど・・・・・・」


 あからさまに不機嫌そうな顔をして、キョウゴからユイナのスマートフォンを受け取る。


「なんで俺なんだよ」


 なんて声がだだ漏れである。少し縦にスクロールし、驚いた素振りを見せたかと思ったら、案外素直に読み始めた。


「えー・・・・・・。【いきなりこんなことになってしまい誠に申し訳ない。今日集まって頂いたのは他でもない私の為な訳ですが】・・・・・・」


 棒読みだが、部員全員に聞こえ教室の外までは届かないくらいの適切な音量だ。


 内容をまとめると【これからみんなでパスワード解いてね】ということらしい。

 まあ、スマホにロックがかかってない時点で少し予想はしていたが、それまで棒読みだった癖に、いきなりそこになってからドヤ顔をするものだから、少々どころではなくイラッとした。

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