第10話 不穏な空気、再び

 ミオは前後の扉に目をやった。閉まっていることを確認すると、吹奏楽部を始めとする生徒たちが教室前を行き来するのが気になるようで


「やっぱ中央に集まろうか」


 そう言った。


 ユイナのスマホがヒヨリの後ろの机に置かれ、そこにキョウゴが座った。その左隣の椅子をキョウゴの机付近にショウマが、その机にソウタが。リコは椅子だけ動かしてコハルとヒヨリの間に。ミオはコハルの後ろの席に座った。


 ヒソヒソとした声・・・・・・ではなかったが一つのスマホを全員で囲んでいる様は傍から見れば怪しい召喚の儀式であった。


 キョウゴが電源を消していたので、もう一度付け直す。


 幸いにもロックはかかっていなかった。


「ほら!やっぱり」


 リコが得意げな顔でソウタを見た。目は合わなかった。


「あーはいはい。良かったですねー」


 感情が全くこもっていないのにリコを子供扱いしたソウタのセリフにまた不穏な空気が漂い始める。


「遺書って言ってたし、メモアプリじゃない?」


 そんな空気をわざと無視してミオがキョウゴに指示を出す。

 それに合わせてキョウゴがユイナのスマホを操作する。


 メモアプリを開くと、とあるフォルダが開かれていて、メモにはそれぞれ番号が振ってあった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る