第7話 来たよ最権様の御宮殿

「あれっ? 何だ!? 何も見えないぞ! 宰! 古今! 近くにいるのか!?」

「夜? もうそんな時間? 私まだ、朝ごはんもお昼ごはんも食べてないんだけど!」

 突然暗闇に覆われてしまった一磨と宰は必死に辺りを見回してみたものの、どこに目をやっても光は見えず、目を開けているのか閉じているのかも分からなくなってきた。

 ぎゃあぎゃあ喧しく騒いでいた二人の頭上に一筋の閃光が走って、突然、周囲の闇を切り裂くように光が広がった。眩しさに目を細めながら辺りを見渡した一磨が、素っ頓狂な声を上げて叫ぶ。

「おおおぉおい!? 一体何が起きた!? どうして俺達はこんな場所にいるんだ?」

 先程まで居たはずの林の光景から一変、そこはどこかの宮殿の大広間らしき、柱、壁、天井、床、目に映るあらゆる物が艶やかな漆黒に染まり、隅から隅まで彫刻や金彩等々、豪華絢爛な装飾の施された、前方も後方も合せ鏡を覗き込んだように果ての見えない空間だった。

 余りにも広大で荘厳な漆黒の世界のど真ん中へ、三人は突如立たされていた。

「えぇっ! どこなのここ? いきなりすごい所に来ちゃったよ!」

 大広間の端には巨木のような柱が壁面に沿ってどこまでも立ち並び、床には顔が映るほどに磨き込まれた大理石が敷き詰められている。見事な大和絵の描かれた天井からは宝石を凝り固めたごとき特大の室内灯が無数に吊り下げられ、異世界と思える程の高級感漂う光景に、三人はひたすら驚き続けた。

「なんなんだこりゃ……、大和一の大富豪の家か? どんだけ黒が好きなんだ? どこもかしこも黒光りしちゃってよ……。広すぎるにもほどがあるだろ、幻覚じゃないよな……」

「すごい、真っ黒でピカピカだよ! これ、ひょっとして……。全部、胡麻羊羹でできてるんじゃない!? ここ胡麻羊羹屋敷なんじゃない?」

「どんな屋敷だ、それはよ! あっ、こらっ! 床を舐めるんじゃない!」

 宰は床が胡麻羊羹でできているか確かめようと寝そべってぺちぺち叩き、さらに床を舐めようと舌を出した所で一磨に頭を引っぱたかれた。

「いやはや、言葉もありませんよ……。ふふっ、ふふふっ……」

 感激が許容を超えてしまったらしく、古今は夢現を見ているような顔でふらふら辺りを歩き回っている。

 少し冷静になって一磨が周囲を観察してみると、三人が出現した場所から最も近い柱の両脇に、厳めしい顔をした巨大な仁王像が二体設置されており、その前方で座布団に正座した二人の少女がじっとこちらを見つめている事に気付いた。一人は濃紅、もう一人は群青の鮮やかな色合をした着物に身を包み、過剰に大きな座布団の上へちょこんと正座してるので、可愛らしい人形が飾ってあるようにも見える。

「あそこに子供がいるけどよ……。話し掛けて大丈夫なのか……?」

 どうしたものか迷っていると、少女達の後方、薄暗い壁際で何かが蠢いたような気がした。目を凝らしてそれを眺めた一磨が、ぎょっとなって息を呑む。

 そこには、百人超はいるであろう黒衣の格好をした者達がずらりと整列、周囲の漆黒へ溶け込むように屈み込んでいるのだった。

 その恐ろしげな光景を見て固まってしまった一磨の横を、宰が呑気な声を上げて走り抜けていく。

「私があの女の子達に話し掛けてあげるよ! あなた達そこで何やってんのー!?」

「奥を見てみろ! 怪しげな奴らが大量に居るぞぉッ! 行くなぁッ!」

 宰を呼び止める為に絶叫した一磨の元へ、古今がてくてくと歩み寄る。

「いやいや……、全くもって素晴らしい。この床板一枚とってみても、私、三日は寝ずに眺めていられますよ。どうです、この美しい輝きと込められた高度な式術の密度。このような場所に来れるなんて、一磨さんと御近付きになれて心から感謝しています。どうもありがとうございます」

「お礼言ってる場合じゃねぇんだって! 見て見ろ、壁に並んでる怪しげな黒い奴らを!……いやっ、『素晴らしい』じゃねぇよ! 普通あんなの見たら俺みたいに騒ぐぞ! こんな訳の分からない場所に突然来ちまったってのに、お前達には緊張感とか警戒心とかそういう物が全く無いのか!? なんだ、大物気取りか!?」

 背後で一磨の大声が響く中、気にせず少女達に話し掛けようとする宰だったが、近付いたとたん少女達の姿が座布団ごと陽炎のように薄くなり、跡形もなく消えてしまった。

「あれっ二人共居なくなっちゃった!? どこに行ったの? 地面に潜っちゃった?」

「おいおいおい……。あの女の子達、消えちまったじゃねえか……」

 漂い始める不穏な空気。怯え始めた一磨へ追い打ちを掛ける如く、巨大な石臼を回転させるような、硬い物体を力任せに擦り合わせる音が大広間に響き渡った。

「なんだ、なんだ! ゴリゴリゴリゴリゴリ鳴ってるッ! 一体何が起きてるんだ!?」

 半狂乱で顔を上げた一磨の目に映ったのは、その巨体を豪快に動かして、こちらに向かい歩き出した二体の仁王像の姿だった。

「うぉぉぉおおい! 今度はでっけえのが動いちまってるっ!」

 驚いて盛大に尻もちをついた一磨とは正反対に、宰は歓声を上げ、仁王像の元へ脇目も振らず駆け寄っていった。

「凄く格好いいけど、二体とも怒った顔してる! 何か嫌な事でもあった!? 一磨、どうしてこの石像怒ってんの?」

「知るかっ! 踏み潰されちまうから、すぐ戻って来い! 早くここから逃げるんだッ!」

 さらに、壁際で屈んでいた百人超の黒衣達までもが一斉に立ち上がって動き始めたので大広間は騒然。巨体に似合わぬ小走りでずんずん近寄って来る仁王像のせいで、立っていられないほどの地響きと揺れが起こる中、古今はのどかな景色でも眺めるように呟いた。

「いやぁ、これは壮大ですねぇ。宰さんと仁王像の大きさの対比が絵になってますよ」

「呑気かよっ! あのでっかいのがこっちに向かって来てるんだぞ! そんな場合じゃねぇって! ちょっと待て……あいつ等が持ってるのは何だ……。武器じゃねえのか?」

 仁王像はそれぞれ形状の異なる丸い円盤状の物体を手に持っており、口を閉じた仁王像、吽形の方があろう事か腕を高く振り上げ、虫を叩き潰すように円盤を一磨に向かって垂直に振り下ろしてきた。

「おいっ、冗談じゃねぇぞぉぉぉっ!」

 潰されると思った一磨は、絶叫を上げながら全力で横に転がって緊急回避。円盤は猛烈な勢いで降下してきたが、仁王像は接地する前に手を急停止させ、そこからは慎重な動作で円盤を静かに床へ置いた。

「あれっ……。なんだ……。俺を攻撃したんじゃないのか……」

 円盤には四本の足がついており、武器ではなく、それは相当に重厚な大理石製の円卓だった。意表を突かれて呆然とする一磨をよそに、数人の黒衣達が円卓に走り寄ってきて真っ白な布で卓上を覆い、椅子を手際よく並べていく。

 そして次から次へと、大勢の黒衣達が様々な品を手に円卓へやってきた。

 黄金製かのように金色に輝く向日葵や、漆黒の葉と無数の小さな花弁が星空を思わせる花、一切が透明で向こう側が透けて見える不思議な花など、見た事もない花々の活けられた豪華な花瓶が卓の中央部に設置され、美味しそうに熟した果実やら宝石細工さながらに手の込んだ洋菓子が隙無く乗った大皿や盆が幾つも並べられていく。

 卓上が贅を尽くした品々によって豪華に彩られたところで、阿形が大きな体を屈めて、肩に担いでいた円盤を一磨達の前に下ろした。

 広い盤面の中央にはぽつんと置かれた米粒のように、普通の大きさをした洋風急須が乗っており、阿形は太い指で器用に急須をつまみ上げると、椅子の前に並べられた茶碗へ茶を注ぎ始めた。

 茶碗から高級そうな茶葉の香りが優雅に漂い、怪しげだった円卓は瞬く間に華やかなお茶会の会場へと姿を変えてしまった。

「ええっ!? なになに? まさか私、これ全部食べてもいいの?」

 涎を垂らして事の成り行きを見守っていた宰は、黒衣達がどうぞと手を振り下げたとたん、目にも止まらぬ速さで卓上のお菓子を手に取り、口の中へ放り込んだ。

「ふおっふぁっ! すっごく美味しい! ふぅふぃぃぃい……」

 はちきれそうな笑顔を浮かべて宰は椅子に座り、茶を口に含んで至福の吐息をつく。

「ここはひょっとして、菊華の特設会場じゃねぇのか? 蟹汰を倒したから菊華陶磁器が式術で俺達を会場に呼び寄せてくれたって事か……? なんだよ、早く言ってくれりゃいいのに。驚かせやがって……」

 急に場が和やかな歓迎の雰囲気に包まれたので、一磨も警戒を解いて椅子に座り、大盆に乗った果物の山から林檎を選んで齧り付いた。

「おおっ! こんな美味い林檎食ったのはじめてだ。こりゃ凄い!」

 感動の声を上げながら林檎をもぐもぐ食べる一磨。さらにもう一口齧ろうと口を大きく開けた時、ふと、冷たい風が頬を撫でた。何の気なしに顔を上げたその瞬間、齧りかけの林檎は手からぽろりと落下、足は猛烈に震え、お気楽な気分は消し飛んでしまった。

「いつから……、あんな物、あったんだ……」

 視線の先、大広間の前方にあろう事か紡錘形をした金色の巨大な目が二つ、夜空に浮かぶ月のように怪しく輝いてこちらを睨んでいる。

 いきなりの事で悲鳴も上げられぬまま一磨がその巨大な目を見つめていると、急に黒い霧が前方に立ち込めて目の周りを覆い、凝り固まるように実体化して顔を形成、続けて前足、胴、腰、後ろ足と、黒い霧の中から抜け出してくるように、途轍もない大きさの生物が出現した。

 それは首を直角に曲げて見上げなければ、全貌が把握できないほどに巨大な黒豹。

 獰猛な顔を不機嫌に歪ませた敵意剥き出しの目で、黒豹は仁王像の倍はあろうかという高い位置から一磨の事を睨み付けている。

「嘘……でしょ……。信じられない……。こんな事ってある……?」

「ええ、私も驚きました。自分の目を疑っています……」

 宰と古今の動揺した声が横から聞こえ、この黒豹はあの能天気な二人ですら怯えるほどの存在なのかと、一磨は震えながら宰の方を向いた。

「このお菓子……。薄く焼いた生地が白くて甘いやつと交互に何枚も重なって、口の中で絡み合う……。食感がすごい……。これ作った人天才なんじゃない?」

「生地とクリーム、平面を何層にも重ねる事で立体を作り出すとは、正に次元を超えた発想。菓子作りに対する執念すら感じますね……」

 宰と古今は目前の巨大な黒豹では無く、皿の上のお菓子について真剣な表情で熱く語り合っていた。二人共眉間に皺を寄せて顔がくっ付くほど、まじまじお菓子を観察している。

「大馬鹿野郎っ! 前だっ、前を見ろって! もんの凄いのが近付いて来てるだろうが!」

 大声で叫びながら宰と古今の頭を無理やり捩じって前方を見せる一磨だったが、そこにあったはずの黒豹の姿はどこかに消え去り、代わりに黒い霧が前方の視界を遮っていた。

「大きな声出してどうしたの? 一磨もこのお菓子食べてみたほうがいいよ。食感が凄いんだよ! 口の中で生地が何枚も弾けるんだよ! そんでフワッて甘くなるんだよ!」

「ええ。一磨さんも是非ご賞味ください。お菓子革命ここに勃発です」

「やかましい! 阿呆みたいにでかい動物が目の前にいたのに、いなくなっちまった。どこに消えたんだ!?」

 お菓子をぐいぐい近付けてくる宰の手を押し退け、一磨が必死になって黒豹の姿を探していると、霧の中より二つの人影が歩み出て来た。

 それは奇抜な黒い洋装を身に纏った女と従者らしき男の姿。次の瞬間、一糸乱れぬ動きで百人超の黒衣達が左右に分かれて一斉に恭しく跪き、女と男の前に円卓へと続く通路が作られた。    

「おい……、あいつ等……。完全にようこそって雰囲気じゃないよな……」

 二人の姿を見た一磨は黒豹に睨まれた時以上の恐怖に襲われ、震えはおろか冷や汗が滝のように流れて出て止まらなくなった。

 女は頭部と手足が丸々残った見事な黒豹の毛皮を肩から羽織り、荒々しく引き裂いたような洋装の裾を黒い炎の如くなびかせている。肘と膝上まで覆う皮革の手袋と靴、大きく開いた胸元を飾る拳ほどもある大きな宝石、短剣を繋ぎ合せたように鋭く尖った王冠状の髪飾り、それら身に着けている物の全てが宮殿と同じ艶やかな漆黒に染まっていた。

 その後方を歩く従者らしき細身の男は、黒い洋装からひだのついた白い襟と袖が覗いて、男が着るには少々愛らし過ぎる格好にもかかわらず、張り詰めた気配を全身に纏い、直視する事を躊躇してしまうほどに尋常で無い威圧感を放っている。

 そんな二人の姿を見ても、宰はお菓子をせっせと自分の皿の上に乗せながら、

「あの女の人、服ぴっちぴちだ! ああっ、一磨見て! あの人おっぱい大きいから、おっぱいの上の部分が豪快に出ちゃってる! まずくない!? 上おっぱい見えちゃってるけど大丈夫なの!?」

 などと相変わらず呑気で、古今は尻が浮くほど身を乗り出している。

 女が接近するにつれ氷室のような冷気が辺りを覆い始め、突如床から座面以外のあらゆる箇所に棘の付いた椅子が、卓上にも同じく棘だらけの紅茶碗が、それぞれ何もない場所からにゅうと生えるように出現した。

 男が手慣れた所作で引いた棘付きの椅子へ、女は静かに腰を下した。

「私の名は最権栖拿だ」

 おもむろに名を告げた最権の肌は血が通っているのかと思うほどに白く、その顔は絶世と言えるほどに美しい。しかし、余りにも冷酷な視線が目から放たれており、一磨は恐怖以外の感情を抱く事ができなかった。

 棘だらけの紅茶碗を手に取った最権がその縁へ口を付けたとたん、円卓の上に置いてあった風呂敷包みがひとりでにはらりと解けて箱が音も無く四方に割れ、菊華の花が露わになった。

「ねぇ、その服ぴちぴちだけど、きつくないの? おっぱいの上の部分出ちゃってるし」

「その品を私へ譲って貰う為に、お前達をこの社殿に呼び寄せた」

 宰の失礼な質問へ返答は無く、菊華の花に向けて発した最権の言葉に、一磨は顔面蒼白で震えながら反応した。

「ひょ……ひょっとして、この花を狙って俺の事を襲ってきた奴らは、全員あんたの指示で動いていたのか……?」

「私の部下はここに居る者達だけだが、その花について知っている者は他に居るまい。間接的、結果的には私の指示でと言う事になるだろうな」

 この怪しげな建物に連れ去られた時から、ひょっとしてと思っていたものの、考え無いようにしていた最悪の事態、

 ――ここはまさかの敵本拠地で、最権は一磨を襲った者達の親玉――

 それが現実の物となってしまい、一磨は恐怖の余り意識が遠いた。

「この宮殿に人を招くのは初めての事だ。客人であるお前達には礼節を以て接したいと考えている。幾らでもかまわん、言い値でこの品を買い取ろうではないか。遠慮せず希望する金額を言うがいい」

 どう答えれば良いのか分からず、声を出す事のできなかった一磨の代わりに、口の中いっぱいの菓子を無理やり飲み込んだ宰がはっきりと答える。

「これはね、菊華さんの所に届ける荷物なの。あなたは菊華さんじゃないから渡せないよ」

 そう言い終えると宰は、次に食べるお菓子を鼻歌まじりで皿へ乗せ始めた。

 重い沈黙が円卓を覆い、一磨は全身の毛穴を広げて固まった。

 最権の背後に控えていた男が手袋を嵌めた左手を無言で前に出すと、生地を突き破って手の平から銀色の刃が出現、見る見るうちに物干し竿ほどの長さにまで伸び、その刃を男は手から生えた状態のまま高く振り翳して身構えた。

 その様子を見届けて、最権が紅茶碗を静かに卓上へと戻す。

「金品が不服であれば、更に貴重な物で取引をする他あるまい。お前達の命を以って取引する事としよう。その花を私に譲るのなら、二度と我々と関わる事なく無事、元の平穏な生活を送る事が出来る。大した価値が無いにも関わらず、どんな金品や希有な式具よりも大切な物は己が命であろう? 既にこれ以外の条件は消え失せた、お前達に選択の余地は無い」

 皿にお菓子を大量に乗せる、食べる、乗せる、食べる、を猛烈な速度で繰り返し、とうとう卓上のお菓子をほぼ一人で食べ終えた宰が声を上げた。

「お菓子すごくおいしかったよ、ありがとう。でも黒ピチ、駄目だって言ってるんだからあきらめなさい! 黒ピチの事は菊華さんに話しておいてあげるから、それで我慢する事、いいね! あとおっぱいはちゃんと隠した方がいいよ。あっ、黒ピチってのは、私の考えたあなたのあだ名。服が黒くてぴちぴちだからだよ。気に入った?」

 宰がそう言い終えるやいなや、男の腕が長い刀と共に目にも止まらぬ速さで振り下ろされた。

 一瞬で一番右側に座っていた一磨の首筋に刀は到達、しかしその刹那、鋭い金属音が響き渡り、首の皮を一枚斬った所で刀がぴたりと静止した。

「んっ……? なんだ……刀が……、ぎぃやっ!」

 自分の首に刀が接している事に気付いた一磨は、絶叫と共に椅子から転倒した。

 何事が起きたのかと床から見上げると、円卓に飛び乗った宰が、長く伸びた刀に竹輪を十文字に交差させて、その攻撃を見事受け止めている。

「あれっ? ひょっとしてあなた達、悪い人?」

「ひょっとしなくても悪い奴だろ! 良い人が手の平から馬鹿長く伸ばした刀でいきなり斬り付けて来るか!? あんな棘々の茶碗で茶をすするか!? お前の目は節穴か!?」

「天京。良い。刀を引け」

 最権に名を呼ばれた従者、天京が一礼と共に後ろへ下がると、伸びた刀が一瞬で天京の手へ収縮、そして最権が宰に向かって粛然とした、明確な口調でゆっくりと尋ねる。

「娘。教えてくれ。我々がお前の言う所の悪い人ならば、一体どうするというのだ?」

「うん! 悪い人はね! 私が竹輪で引っぱたいてやっつけて、こらしめて……」

 宰は円卓に乗ったまま、手元で器用にくるくる回転させた竹輪を最権へ真っ直ぐに突き付け――ようとした。しかし、突如目の前を横切った真っ黒な塊に竹輪を弾き飛ばされてしまい、その台詞が途中で遮られる。

 何が起きたのか分からず呆然となった宰の目前で、漆黒の毛に覆われた巨大な獣の手が宙に浮かび、挑発するような仕草で揺れ動いていた。

「なんだ……これ……。大きな……動物の……手?」

 最権の肩には黒豹の毛皮が掛けられていたが、毛皮の腕の部分だけが蘇生したように肉付いて膨張し、巨大な黒豹の腕となって宰の前で揺れているのだった。

 一方、弾かれた竹輪は猛烈な勢いで大広間をすっ飛んでいったが、軌道の先へ回り込んだ天京によって床へ思いきり蹴り落とされ、神器ゆえ縁無き者には掴めぬはずの竹輪を天京は軽々と持ち上げると、宰の所まで運び無言で手渡した。

「娘。申し訳ないが、良く聞こえなかったのでもう一度言ってくれるか。私がお前の言う悪い人ならば、一体どうすると言ったのだ?」

 竹輪を受け取った宰は首を振って気を取り直すと、若干自身なさ気に同じ言葉を口にした。

「えっと……。悪い人は、この私が竹輪で引っぱたいてやっつけて……」

 再び黒い塊が竹輪を弾き飛ばす。今度は宰にも何が起きたのか理解できた。最権の肩から伸びた黒豹の手が宰の顔の前を掠めるように通過して、竹輪を横殴りに弾き飛ばしたのだった。しかし、余りの速さに目で追うのがやっと、全く反応する事ができない。

 そしてまたもや飛んで行った竹輪は天京によって容赦なく蹴り落とされ、宰の手に再び戻された。

「娘、どうした? 何か私に言いたい事があるのであろう? 遠慮せず言うがいい」

 威力も速度も桁違いな黒豹の攻撃を二度も見せ付けられ、宰は絶望的な力量差をはっきりと理解した。竹輪を腰に戻しておずおずと円卓から降り、椅子に腰掛ける。

 生まれて初めて味わった完全な敗北で宰の心は折れ、ぎこちない動きで紅茶をすすりながら、先程とは全く違う事を言った。

「コノオ茶、トテモオイシイデス」

「残るは貴様一人だな」

 宰の戦意が消失した事を見て取った最権が、満足げな表情と共に足を組み直すと同時、立ち上がった百人超の黒衣達の顔が一斉に古今へと向けられた。

 おびただしい数の視線に晒された古今、その胸元からはいつの間にやら、自分の手とは異なる光でできた二本の細い腕がぬっと円卓上へ突き出しおり、その輝く手によって花を最権から守るように包み込んでいる。

 最権がその様子を醒めた表情で眺めながら、呆れたように呟く。

「その式術を解いてもらう訳にはいかないか? 無駄な足掻きである事が分からぬほどの力量ではない筈だ。この社殿にあっては如何なる抵抗も只の時間稼ぎにしかならぬ」

「最権様ほどの方となれば、私が今使用している式術の意味はお分かりになりますね。現在、私と花の存在は式術で連結され一つに繋がっている状態。最権様が私の命をお奪いになれば、同時に花も消滅致しますし、お隣に居られます宰さんや一磨さんの身に何かあった場合でも、私はためらう事無く己の命と引き換えに花を握り潰します。恐れ入りますが、花を壊されたくないのであれば、私達を今すぐ解放して頂けませんでしょうか?」

 淡々と言いながら光の手と共に花を自分の膝の上へ移動させる古今だったが、その式術は相当体に負担が掛かる物らしく、額からは脂汗が流れ、苦しさが表情に滲み出てしまっている。

「尋ねたのは私の方だったのだがな……」

 そう呟いた直後、気怠そうにしていた最権が突然円卓を蹴り飛ばした。

 爆発が起きたように卓上の品々が周囲に飛び散って、円卓が床から天井へ猛列な勢いで吹き飛んでいく。花瓶は割れて大皿や盆が騒々しく辺りに散乱、天井に激突して粉々に砕け散った円卓は、大量の破片となって床に降り注いだ。

 先ほどまでの優雅だったお茶会の光景から一変、あらゆるものが無惨に破壊された殺伐とした光景の中、円卓を蹴った最権の長い足が洋装の裾から露わになって、真っ直ぐに伸ばされたままになっている。

 余りにも突飛な最権の行動に一磨は絶句、宰は相変わらず呆然と空の紅茶碗を啜り続けていた。

「分かった。それでは望み通り解放してやろう。ただし、貴様を骨も残さず喰らい尽くす事による現世からの解放だ。あの世で己の愚かさをじっくり後悔するがいい」

 その言葉と同時に最権の肩掛けが膨れ上がり、一瞬で巨大な黒豹の上半身へと変化、鋭い牙の並ぶ真っ赤な口が身の竦むような咆哮と共に頭上から、爪が剥き出しになった大蛇の如き長く太い前足は床を這って左右から、古今へ同時に襲い掛かってきた。

 黒豹の咆哮による衝撃で一磨と宰は椅子ごと後方へ倒れてしまったが、古今はただ一人黒豹の恐怖に怯む事なく、真っ直ぐに最権の姿を見つめ続けた。

 あわやその体が噛み千切られる、もしくは爪で八つ裂きにされる直前、猛進してきた黒豹の顔と手が古今に触れるぎりぎり間際の所でぴたりと静止、黒豹の荒々しい鼻息の音だけがしんと静まり返った大広間に響いて、古今の前髪は鼻息を受けて前後に揺れた。

 そして最権の高笑いが大広間に響き渡る。

「良い。私にその様な態度で相対する者は久しぶりだ、中々見どころのある胆を持っている男だ。貴様になら自慢の品を見せる価値がある。捨てるには惜しい命ゆえ、心変わりして花を渡したくなった時には言うがいい、運が良ければ無事に帰る事ができるかもしれん。思慮する時間はあまり無いがな」

 嬉々とした表情で最権が手を前にかざすと、数人の黒衣が黒い霧となって宙に漂い、古今の体へ吸い込まれるように入っていった。それと同時に、広間全体が軋むような激しい轟音が響き渡って壁面に亀裂が走る。

 漆黒の壁が割れて外へ崩れ落ち、椅子に掴まって体を起こした一磨が、露わになった大広間の外の光景を見て上ずった声を上げた。

「おい……。一体何なんだこれは……。嘘だろ……、夢なら早い所醒めてくれ……」

 そこには、渦巻く黒雲が不穏に垂れ込む薄暗い空と、陽の光がほとんど差さぬ焼け爛れた大地、不吉な色合のみで形成された景色が地平線まで延々と続いていたが、そんな光景を上回る禍々しき異形の物体が正面にあった。

 大地より巨大な漆黒の壁が屹立しており、そこに壁面を覆い尽くすほどの大きさを持った一つの目玉が壁から半ば飛び出すように埋まっている。そして壁と大地の境目からは目玉に負けぬ巨大さを持った、不気味な黒紫色の筋張った指が五本、昆虫の足の如く地中から伸びて荒れた大地に爪を立てていた。

 壁には内部に炎の入った様々な形状の檻が十数個取り付けられており、禍々しい目玉と指を細部まで鮮明に明々と照らし出している。

 血走って黄色く濁った眼球がぎょろりと不気味に動き、大広間にいる一磨達の姿を捕らえた。その途端、五本の指が怒ったように激しく動き出し、鋭い爪で幾度も地面を引っ掻き始めた。

「冗談じゃねぇぞ……。何なんだよ、あの恐ろしげな化け物は! 宰、早く起きてくれ! とんでも無い事になってるっ! やべぇぞ! これは完全にやばい!」

 一磨に激しく体を揺すられても宰は椅子と共にひっくり返ったまま、古今もその体に黒衣が入り込んで以来、硬直してぴくりとも動かない。

 最権がこの世の物とは思えぬ禍々しい物体を指し示し、自慢げに説明を始めた。

「あれは冥界を統べる者の指と目だ。ちょっとした切っ掛けで体の一部分を捉える事が出来たのでな。現世と常世の狭間にこの社殿を建て、私が作製した封印の壁を使用し繋ぎ留めている。中々良い物だろう、私の収集品の中でも飛び切りの貴重な品だ」

「俺はしょぼい日々を呑気に過ごしてただけなんだ。この世だって恐ろしい事が山盛りでうんざりしてるのによ、冥界だと、ふざけるんじゃねぇ……。そんなとんでもない物に関わるような悪い事、俺は何一つしてねぇぞ……」

 うわ言のように呟く一磨の横で、その光景を目の端に捕らえた古今が苦しみながらも無理やり体を起こし、上気した顔を最権に向けた。

「一体……、あなたは、あのような明らかに人の手に余る強大な力をどうしようと……? いや……一つだけ答えてください……。写真、撮ってもいいですか……」

 僅かではあるが、黒衣に入り込まれても自力で動く古今の姿に、最権がほうと驚いた表情を見せる。

「己の武を磨き身一つで混沌を生き抜く、麗しき戦乱の世は終結してしまった。今や武に変わり、富や名声こそが世を渡る力となった。しかし新しき時代はどうも退屈で、私の肌に合わんのだ。そこで冥界の長でも放ってみれば、馴れ合いとしか思えぬ今の世が一夜にして至極刺激的な物へ様変わりするだろうと思ってな。想像してみるがいい、弱き者は塵芥のごとく一瞬にして消え去り、極限まで鍛えた者ですら気を抜く事の許されぬ真の混沌が支配する世界。魅力的であろう? そんな素晴らしき時代を私が世にもたらすのだ」

 突然辺りに鐘の音が鳴り響き、それを耳にした最権が満足げな笑みを浮かべて、一層饒舌になった。

「壁にある檻の炎、あれは高純度のもののけだ。今現在十一体封印されている。必要となるもののけはあと一体、都合十二体のもののけと、抽出した純粋なる常世の生命を捧げる事によって、あの壁は捕らえし常世の存在を現世へ解き放つ事ができる」

 檻の中の炎は目を凝らして見れば龍や蟹、角をもった馬など様々な形状をしており、それぞれが悶え苦しむかのように身を捩りながら燃え盛っていた。

「高純度のもののけが現世に現れる事は稀だが、時間さえ掛けば数を集める事は容易。しかし、問題は純粋なる常世の生命だ。現世へ呼ぶ対象よりも、さらに強大な存在をあの壁に捧げる必要がある。貴重な品を手に入れる為に、その品より更に貴重な品を用意せねばならぬという撞着。あの壁は、自己を慰めるに過ぎぬ稚拙な玩具とも言える式祭具であったのだが、とある陶磁家の生み出した品によって状況は一変した」

 最権が古今の膝の上にある、光の手に包み込まれた菊華の花を指差した。

「その花は、作品に命を宿す事を己への使命として課した陶芸家により生み出されし、身を現世に置きながら、純然たる常世の存在であるという奇跡の品だ。抽出の必要が無き無垢の現世あらざる命ゆえに、あの壁に捧げる事で如何なる常世の存在をも解き放つ事ができる。そしてその至宝が手に入ろうかという刻下。なんと数奇な事か、力を失った純種のもののけを、件の陶芸家の工房付近で発見したのだ。こうも事が迅速に運ぶとは、天までもが私に事を為せと言っているようではないか?」

 最権の話を聞いて感極まった古今が、息も絶え絶えの様子で声を上げる。

「素晴らしい……。まさか冥界の王をこの目で見る事ができて、更にそれを現世に呼ぶ場面に立ち会う事ができようとは……。これは、一生のうちにあるか無いかの記念日になりそうです……。これは嬉しい……。一磨さん、すいませんが……。写真撮っていいか、最権様に聞いて下さい……。先程の返答が無いもので……」

「馬鹿か!? お前今、体の自由奪われて棒みたいにピンッて伸び切ってんだぞ、いいかげん懲りろよ! 記念日どころか、お前の命日になりそうなんだよッ! 写真撮ってるばあいじゃねぇんだよっ!」

 泣きそうな顔で古今の体に縋り付く一磨。

 その時、最権の後方で螺旋状の光が床から浮かび上がった。明るさを増していく光の渦と共にそこへ現れたのは、鳥籠のように上部が丸い、太い鋼で作られた漆黒の檻を担ぐ数人の黒衣達。檻の中には黒い毛に覆われた小さな動物が身動き一つせずに丸まっている。

「ここに最後のもののけが到達し、全ての準備は整った、その男の猶予はここまでだ。気は変わらないようだな。花と共に新たな時代を切り開く礎として我へ尽くせる事を光栄に思うがいい」

 最権の言葉と同時に古今の体から大量の黒い霧が噴き出して、その肌が見る見る石のように生気の無い灰色に染まり始めた。古今の横に跪いて体をさすってみるが灰色への変化は止められず、身を捩って苦しむ古今を前に、どうする事も出来ずひたすら狼狽し、絶望に暮れる一磨。

 しかしその時、一磨の背後でひっくり返っていた宰が突如、むくりと上体を起こした。犬のようにくんくん匂いを嗅ぎながら首を振って周囲を見回し、黒衣達の担ぐ檻を見つけた途端、大声で叫ぶ。

「ああっ! やっぱり毬藻ちゃんだ! そこで何やってんの!?」

 声に反応して僅かに顔を上げた檻の中の動物は宰が叫んだ通り、数年後に会う約束をして去った毬藻だった。古今同様体の自由を奪われているらしく、虚ろな目でじっと宰の事を見つめ返すだけでそれ以上動かない。

「毬藻ってのは宰が退治したもののけの名前じゃねえか……、あれ……。なんでだおいっ、竹輪が浮かんでるぞっ! 嘘だろ、冗談じゃねぇ、また爆発するのか!?」

 竹輪が宰の腰よりひとりでに宙へ浮かび上がり、眩い黄金の光を周囲に放ち始めている。

 爆発の悪夢が甦って慌てふためく一磨。

 その向かいでは、最権の前に歩み出た天京が、光が当たらぬよう自らの体を呈した壁となり最権を守っている。

「あの武器は……」

 最権が目を細めながら眩しそうに光を見つめ呟く。

 古今体から噴き出していた黒い霧は竹輪の光を浴びたとたん消失し、古今の肌が元の生気ある色に戻り始めた。竹輪の光には最権の式術を打ち消す力があるようで、毬藻の閉じ込められている檻も見る見る劣化を始め、太い鋼の各所に亀裂が入っていく。

「毬藻ちゃん、その檻もう壊れそうだよ! こっちに来なよ!」

 宰の言葉でよろめきながらも立ち上がった毬藻が、己の力を振り絞るように体を小刻みに震わせて鳴き声を上げた。毬藻の右前足が可愛い子犬の鳴き声に全く似合わない、筋肉漲る巨大な獣人の腕に変化、その獣人化した逞しい右手が檻の上部に向けて力の限り突き上げられると、檻は飴細工のごとく歪に撓んで、鋼の格子が弾けるように次々千切れ出した。

 檻の頂部を鷲掴みにした毬藻の手が、格子を捻じ切るような動きで檻の上部を更に押し上げると、見事、堅固な檻は上下真っ二つに分断された。

「一体何が起きてるんだ! みんな大丈夫か!?」

 激しさを増した竹輪の光のせいで大広間は一寸先も見えず、響き渡る物騒な音だけが周囲の状況を知る手段となっていたが、急速に竹輪の光が弱まっていき、天京の背後で座っている最権、檻の上部を掴んだまま身構えている毬藻、身を寄せ合うように状況を窺う一磨と宰と古今、大広間に居る全員の姿が浮かび上がった。

 それを待ち構えていたかのように、毬藻が掴んでいた檻の上部を最権に向かって思いきり投げ放つ。天京は飛来する檻を切り刻むべく手から刀を伸ばし始めたが、その隙を突いて毬藻は檻の下床を蹴り飛ばし、宰に向かって一直線に宙を飛んだ。

「おいで! 毬藻ちゃん!」

 倒れた椅子の上に飛び乗り、宰が飛来してきた毬藻の体を受け止めると、毬藻は小さく丸まってそのまま動かなくなった。

 間髪入れず、檻を切り刻み終えた天京が手から刀を伸ばしたまま、尋常でない速度で飛来してきた。

「うぉッ! 飛んできた、飛んできたぁッ! やべぇのが飛んで来たぞぉっ!」

「一磨さん! 宰さんの体を掴んで下さい!」

 鋭く響いた古今の声に、一磨が慌てふためきながらも無我夢中で目の前にあった宰の帯を握りしめる。

「最権様、大変貴重な御時間をありがとうございました。機会が御座いましたら、是非、次は冥界の王の写真を撮らせて下さい。宜しくお願い致します。それでは御機嫌よう!」

 一息でそう叫ぶと、古今は懐から古惚けた一体のこけしを取り出し、大理石の床へ叩き付けるように直立させた。

 瞬間、こけしが眩い光を放って三人と一匹の姿が光に包まれ、その直後、飛来してきた天京が鋭く刀を振り抜いたが、真っ二つになった光の残像が揺らめいただけで、全く手応えは無かった。

 忽然と一磨達が姿を消した大広間で、天京は無表情のまま手へ刀を収縮させる。

「ふふふっ……。ふはははははははっ」

 その一部始終を眺めていた最権が心底愉快そうに、大声で笑い出した。

「あの光を放った奇怪な武器は神憑であったか……。これほど事が迅速に運んだのは、神憑が我の行為に介入した故……。成就では無く滅する為にか……。皮肉だな、世を見限ったとたんにこのような余興が起こるとは。ふふっ、面白い。それこそ私の望む物だ、あらゆる力を用いて抗ってみせよ。我を失望させれば訪れるのは混沌の世だ。いずれにせよ我の邪魔をした罪は、人であろうと神憑であろうとその存在の消滅を以って絶対に償ってもらうがな……」

 最権の顔から笑みが消え、冷酷で狂気的な表情がその美しい顔に浮かび上がった。

「出るぞ皆、出発の用意だ」

 大広間に指示が響き渡ると同時、最権の握り締めた椅子の肘掛けが砂のごとく粉々に砕け散り、漆黒の床に散った。

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