黄昏

再び、おはよう

　目が醒めると、床の上だった。

　壊れたゼンマイ仕掛けのように無軌道に生きているなと、我ながら思うのだ。

　夕べは何時に寝たものか、把握できない。

　年寄りが眠れないというと、医者はどっさり薬をくれる。

　その薬を、昨夜は飲まなかった。

　後悔はすれども、目が冴えてしまったので、明け方まで起きているとしよう。

　TVの録画を消化せねば、そろそろ容量が足りなくなるころだ。

　電源を入れると、スポーツものの映画を選択する。

　ラグビーは普段観戦しないが、かてて加えてそれに政治が絡む話だった。

　老大統領と選手が、ラグビーを通して、人種の壁をのりこえていく、そんな話だ。

　ソファに身を伸べると、２時間たっぷり観て、目頭を押さえる。

　そういえば、いつもは朝の４時に目が醒めるのに、今朝は２時間早い。

　あと２時間は眠らないと、起きてからが調子悪いぞ。

　重たい頭を無理に働かせることはない。

　さあ、疲れた。今度こそ、普通に眠れるといいが。

　了