第6話 GF緊急会議

 「米海軍機動部隊、ガダルカナル島に強襲」この知らせは連合艦隊司令部、軍令部、海軍省を震撼させた。

 そしてこの知らせがガダルカナル島から内地に届けられた日の夜に連合艦隊旗艦「武蔵」の艦上で緊急のGF会議が行われた。


「邀撃に上がった零戦39機の内、未帰還機22機か…」と連合艦隊司令長官山本五十六大将が唸りながら言った。

 「そして、最終的にはガダルカナル島の飛行場が爆撃を受け、滑走路、対空砲陣地に被害、さらに、水上機基地で、水偵、飛行艇を合わせて18機が完全破壊または撃破された…」と山本が続けて言った。

 「特に重大視すべき情報は、来襲してきた敵艦戦が全て新型だったことです。この敵艦戦については、先月の時点で既にその存在が確認されていましたが、一度に多数の機体が来襲するのは今回が初めてでした。」と富岡貞俊主席参謀が言った。

 富岡は「新型艦戦」の一語に殊更力を込めた。

 「もう一つ、お伝えしなければならないことがあります。」と松本正参参謀副長が言った。

 「何かね?」と山本が松本に聞いた。

 「この写真をご覧下さい。」と松本が言った。

 ガダルカナル島が空襲に合っていた時に、空中に退避していた100式司偵が撮影した偵察写真だ。

 この100式司偵は空襲終了後、敵の攻撃機を尾行して、敵機動部隊のいちを突き止め、上空からの撮影に成功している。

 「空母が4隻か…」と宇垣纏参謀長が写真を見ながら言った。

 高度4000メートルから撮影された写真のため、艦種がいまいち分かりにくいが、艦上に構造物が見当たらない艦を空母と判断したのだろう。

 「索敵機の搭乗員は正規空母2隻、小型空母2隻と報告しています。」と松本が言った。

 「そして、この4隻の空母はいずれも識別表にはありません。」 と松本が続けて言った。

 「ならこの4隻の空母は新型艦で間違いないな。」と宇垣が言い切った。

 「そういえば、先日、軍令部の伊藤次長から聞いた話なのだが、既に米軍の新造空母は正規空母、小型空母合わせて7隻が竣工したらしい。」と山本が言った。

 「昨年末に竣工した空母であれば既に前線に姿を表していてもおかしくありませんな。」と宇垣が言った。

 「重要なのはこの事態に対して我々連合艦隊がどのような対策をするかだ。」と山本が言った。

 「すまんが富岡君、明日、霞が関の軍令部のところに行って軍令部と大まかな方針について決めてきてくれ。あと、この会議が終わった後に君は私の部屋に来てくれたまえ」と山本が続けて言った。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る