終印 青空の下で

「んっ……」

布団から起き上がり、いつも通り髪を結び、二本の刀を腰に差す。毎日行っている動作だが、今日は何故だかちょっぴり新鮮な感じがした。

『何か今日は随分と調子が良いじゃない。どうしたの?』

「うーん…私でも良く分からないや。」

『さては新しく友人が出来たからなんでしょ?』

「もしかすると…そうかもしれない…」

そんな気分でいながら、いつもの仕事を今日はこなしていた…


ー墓ー


お兄ちゃんの墓に水をあげ、合掌一礼をする。

「お兄ちゃん…私ね、妖怪の友人が出来たんだ。お兄ちゃんと同じ炎を使う妖怪でね、凄く強かった…今度、お兄ちゃんにも紹介してあげるね。」

たった16歳という若さで亡くなってしまったお兄ちゃん…目には見えないけど、青空から微笑んでいるような気がした。墓から離れた時、私はそう感じたんだ…!




  

  『美子…玲子…逞しくなったな…』




終印、完。

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大正百鬼夜行~蝶月の印~ Next @Trex

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