家族の笑顔を求める少年

川野マグロ(マグローK)

家族の笑顔を求める少年

 少年は心配だった。

 最近の家族はどうも雰囲気が良くないからだ。

 別に目立って仲が悪くなったというわけではない。

 ただ、そんな事が起きている以上に居心地の悪い空気が漂っているのだ。

 具体的な例を挙げるとすれば、会話を途中で無視したり、意図的に洗濯をしなかったりだ。

 もちろん毎日がそういう日々の繰り返しでもない。

 だから、気にすることではないのかもしれない。

 しかし、少年は気になって仕方がなかった。

 今までのような家族に戻って欲しかった。



 少年は思いついた。

 自分がこの空気を打破すればいいことを。

 そのためには何をすべきか考えた。

 ある日道を歩いているとピエロがジャグリングをしているのが目に入った。

 少年はこれだと思った。

 その日から練習を始めたがずっと岩間があった。

 何か何かと見比べると自分にはボールが二つしかないことに気がついた。

 少年は最低でもボールが三つ必要に思えた。

 しかし、ボールは二つセットの物か、一つの物かしか今まで買ってもらったことがなかった。

 少年はまた考えた。

 どうすればボールを三つにするにはどうしたらいいかを考えた。

 少年は直ぐには思いつけなかった。

 だが、友達と友達のボールで遊んでいるとボールが割れてしまった。

 そのことで少年は閃いた。

 ゴミとなったボールを貰い。母に嘘をついたのだ。

「ボールが壊れちゃったから買ってくれない?」

 母はそれを直ぐに信じ新しいボールを一つ買ってきてくれた。

 少年はボールを三つ手にすることができたのだ。



 そして、少年は状況を良くするべく、来る日も来る日も練習を続けた。

 計画を立てて三週間が立った日に家族を集め、少年はジャグリングを始めて家族に披露した。

 結果は成功。

 家族は笑い。そのことから今までの状況はしっかりと打破された。

 母はあの時のことをこう振り返っている。

「なんてバカだったんだろう」

 少年は努力により家族の笑顔を取り戻したのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

家族の笑顔を求める少年 川野マグロ(マグローK) @magurok

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ