酒と煙草に埋もれたい

KO=李

吸いたい飲みたい忘れたい

 彼女が来る。僕は、何をしているのだろう。分かっているのだ、この湿っぽい夜空が語っている。コンビニの裏側で友人にこっそり売ってもらった煙草と酒、酒は思いっ切り強いのにした、アルコール臭くて飲み込むので精一杯。煙草は不快な泥みたいな煙が気管や肺を満たしていて、タールとニコチンが意識を朦朧とさせる。彼女が来る。この夜道に自転車の息吹をたぎらせて。

 思えば僕は酷い人間だった。春暁の雷鳴に犯されて、原始の遺伝に従った。理性とは程遠く、道徳から三光年は距離がある。末端の獣に人間讃歌は歌えない、修羅の門をくぐる前にキリストに祈っちゃ誰も浄土を望まない。ヴァルハラへの信濃川は富士山の勃興を思わせる。三途の川のせせらぎの様に彼女は笑ってやってきた。

 

 右腕の賢者の石が弾け飛ぶ。無限に溢れ出る鮮明たる生たる証は無残に無意味に明日に散る。僕は何を定義するか、観測するか。自我のメッカたる故に、彼女の銃口に我が身を預けよう。列強たる彼女は悪魔を連れてやって来る。身を喰い心を喰い魂を喰い、免罪符を奪うのだ。


「脳内を電光石火で駆け巡るこれは痛みではない、呆れだ」

彼は息絶えた。

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酒と煙草に埋もれたい KO=李 @komotoreimei

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