第24話 不良美少女の妹(後編)

「えーっと……才花ちゃん?」


「だからー! ふたりでいっしょにすべってほしいの!!」


「い、いや、才花。滑るといってもお姉ちゃん達の身体の大きさじゃ、その……色々問題が……」


「大丈夫だよ!! おねえちゃん、もしかして怖いの?」


「お姉ちゃんに怖いものはない」


「じゃあ滑れるよねー!? ほら……狭いからおねえちゃんが、おにいちゃんにだっこするかんじで!!」


「い、いやそれは……」


 ♢ ♢ ♢


 数分後。才花ちゃんに言われるがまま、従うと、花さんが、僕の身体に抱きつく形で、

 準備は整った。なんとか滑れそうではある。

 だが……。

 そう、問題はそこではなく……。


(す、凄い密着してるんですけど!!)


 背中に、柔らかなものが押し付けられている。

 なんだこの体勢は……!

 かなり狭いので、密着度がかなり高い。

 というか、もう隙間なんてない……。

 側から見れば、ただのバカップルである。


「は、花さん、大丈夫ですか?」


「う……うん」


「ねぇー!! なんでおねえちゃんたちは、おかおが、まっかなのー?」


 首を傾げながら、楽しそうに僕らに問いかけてくる。


「……それは……な」


「いや……まぁ……その」


 密着している花さんの身体が、少しずつ熱を帯びてきている気がするのは気のせいだろうか。

 僕は、心臓がバクバクである。

 というか才花ちゃん……この状況、色々とわかってて言ってるわけじゃないんだよね!? そうだよね!? まさか……ね?


「昴……」


「は、はい!」


「その……なんだ。色々と当たってるし……嫌じゃないのか?」


「嫌じゃ……ないです」


「そうか……良かった。……だが、あたしの精神が崩壊しそうだ……恥ずかしいんだが……で、できれば早く出発してくれると……」


「そ、そうですね! じゃあ……」


「じゃあ、才花が押してあげるね!! 

 しゅっぱーつしんこー!!!」


 ドンッ


「うわああああああああああ!!!」


「ひゃん!!」




 ♢ ♢ ♢



 そして、あれから、30分は、経っただろうか。

 僕らは終始、顔が真っ赤だったのは言うまでもない。


 そして、あたりが、ずいぶん暗くなってきた為、そろそろ僕らは解散することにした。


「じゃ、じゃあ、今日は、この辺にしましょうか……」


「あ、ありがとうな、昴」


「……い、いえ!  僕も才花ちゃんと話せて、楽しかったですし!」


「じゃあねー! おにいちゃん!! たのしかったよー!! またあそばうねー!!!」


「うん! またね!」


 二人の後ろ姿を見送ろうとすると、

 花さんに何か告げた後、才花ちゃんが何やら、僕の方へと向かってくる。

 どうしたのだろうか。


「あ、そうだった、おにいちゃんにひとつ、

 いうこと、わすれてた! おみみかして!!」


「ん? どうしたの?」


 才花ちゃんは、トテトテと僕に駆け寄ってきて、そのまま、しゃがんで!と言った。


 僕は、言う通りに、才花ちゃんの背丈に、

 しゃがみ込んで高さを合わせ、耳を傾ける。


「……ほんとうにかれしになったらおうちにもあそびにきてね」


 な……!? この子は、なんというか

 末恐ろしい!! 子供ながらに、

 小悪魔的な何かを感じた。


「じゃあばいばーい!!」


「? 才花、おにいちゃんになんていったんだ?」


「うーん、ないしょ!」


 楽しそうに会話しながら帰路に向かう

 神崎姉妹を見ながら、その場で、

 呆気に取られるのであった。

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