第39話 援護
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「はぁ……はぁ……」
中々にキツい。この人数を一度に相手するとなると、やはり、体力を消耗する。
「だが……」
「くそがああああああああああ!! 邪魔すんな小黒おおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「はぁ……はぁ……! 2対1の構図を作り出せば、犬飼でも大したことねぇなぁ?」
「うるせえええええええええええ!! 俺の獲物はお前だ神崎いいいいいいいいいいいい!!!」
上手い具合に小黒の仲間達が、
犬飼の手下をあたし達の元へ来させないように、うまく抑えていた。
だから、犬飼一人に対して、
あたしと小黒という。
2対1の構図が生まれていた。
犬飼もだんだんと動きが鈍くなってきている。それに、少し前を境に、犬飼の仲間の数が減っている……? 小黒の仲間が倒したのだろうか。とにかく、
このまま、あたし達が犬飼を凌げば……!
勝機はある……!
「小黒、もう一踏ん張りだ!」
「あぁ……!」
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「……よし、こんだけ倒せば充分だ! みんな、花さんのところへ!」
「了解っス!」
「ええ!」
不気味な男と戦っている花さん達からは見えない位置で僕らは身を隠した。
「ちくしょおおおおおおおおおおお!!! 邪魔すんな小黒おおおおおおお!!」
「はぁはぁ……! おいおい、もう終わりか?」
先程の不気味な男は、
とても、イライラした様子が伺える。
「てめぇらああああああああ!! 何してんだあああああああ!!」
『す、すみません! 犬飼さん! ですが小黒が連れてきた奴ら、かなり手強くて……』
この不気味な男が犬飼なのか……?
「そんな報告はどうでもいいんだよおおおおおお!!!!! さっさとこっちに加勢しろやああああああああああ」
『は、はい!! 犬飼さん!!」
「雑魚どもが……!! 小黒のやつ……めんどくさいことしてくれやがって……!!」
やはりこいつが犬飼のようだ。
『犬飼……覚悟おおおおおおおおおおおおおおおおおお』
「あ?」
ドゴォッ!
『うっっっ!!』
バコンッ!
床に叩きつけられる小黒の仲間。
なんて力だ。
「雑魚じゃねえか……こんな奴らに手間とってんじゃねええええええええええええええええええええ!! ……あ? なんか俺の手下どもが異様に減ってんなぁ……こりゃ……誰の仕業だ……? 変な匂いもする……」
(異変に気づいたか……?)
「てめぇらの仕業かああああああああああああああ!!!」
目の前に桁外れのスピードで、
犬飼が向かってくる。
な……なんでバレたんだ!!?
距離も離れていて、
完全に死角だったはず!
「さっきまであんなに遠くにいたのにどうして……」
そして、不気味な男は、いつの間に僕らの背後へと、いた。
「戦慣れしてんだよこっちはなああああああああああああああああ!!!」
「危ないっス!!」
寸前のところで、神楽坂さんの蹴りと不気味な男の拳が合わさり、鈍い音が鳴る。
騒ぎを聞きつけた、花さんと果たし状の時の男が駆け寄ってくる。
「……す、昴!? それに羽川ちゃんと神楽坂まで……どうしてここへきたんだ!!」
「話はあとです!! おりゃ!!」
「ゲホゲホッ!! 前が見えねえええええええええええええ!! 待ちやがれええええ!!!」
最後の、水風船を犬飼へ投げると、
僕は、花さん達に告げる。
「話はあとです!! この人数の相手なら、もう逃げれるはずです!!
逃げ道は用意してあります! 逃げましょう!!」
「おいおいナイスタイミングだ。やるじゃねぇか、神崎のダチ達」
「あなたは……なぜ……」
「……あん時の嬢ちゃんか。察してるかも知れんが、今の俺はお前らの敵じゃない。それに、俺は犬飼じゃなくて、小黒だ。まぁ詳しい話は無事に脱出できてからだな……」
僕らは、入り口へと走って向かった。
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