3学期

2月

第34話

 いよいよ、私立の出願を終えて、今日受験する日がきた。

 まだ過去問は解いてなかったけど、書店で見た過去問は、結構簡単そうだ。

 学校につくと、受験票の書かれた番号の部屋に向かう。

 部屋には知らない人ばかりで、そのほとんどが都立との併願をしている子だと思う。

 二十四日にある都立の一般入試があり、まだ私立の一般入試をする前なのに先のことを心配してしまう。


「それでは試験を開始いたします――」

 試験監督の先生が来た。

 わからないけど、もうこの教室には緊張感がピリピリと張りつめている。

 わたしは最初に配布された数学の問題用紙と解答用紙を表にして、名前を書き始めた。

 問題を見た瞬間、めちゃくちゃ簡単だなと感じた。

 ほとんど、都立入試の大問1だけで、結構早くに問題を解くのは終わってしまった。

 そして、国語と英語も同じようなレベルで、特進クラスの入試は終わってしまった。



 昼休みが始まると、弁当を出して食べることにした。

 最近は栄養バランスのいい具材を母さんは入れてくれる。

 入試の日に風邪を引かないように始めたんだけど、母さんは最近は凝ったもの(かわいいネコの大根おろしとか)を作ってくれるんだ。

「ふっ……今日もすごいな」

 とにかく温まるコーンスープを飲んでから、特進と総合クラスの面接試験が始まるらしい。

 受験票の番号を覚え、そのまま面接官のもとへと向かう。いつも練習をしていたけど、めちゃくちゃ緊張していた。

「それではいままでで、感謝したい人物を一人あげてみてください」

 わたしは最初のメンバーだったの。

「はい。家族です」

「どうしてですか?」

「母は未婚のまま、わたしと妹を育てています。いつも夜遅くまで仕事をしたりもしていたからです。妹は一つ下ですが、とても気を使ってしまうこともあるので……今日もそうでした」

 面接をしていたときはなんにも覚えていなかったけど、とても大変だったのを覚えている。

 そして、いつものように家に帰る。

「おかえりなさい。小夜さよ

「うん。ただいま」

 制服の上に着たコートを脱いで、制服のままだらける。

「あ~、緊張した~」

「ほらほらほら! 制服にホコリとかがつくわよ!」

 わたしはしぶしぶ部屋で、制服から私服に着替えた。

 そして、リビングに出る。

 キッチンにいる母さんに弁当箱を持っていくと、にこやかに弁当箱を手に取った。

「あ、雪華ゆきかは?」

「雪華? 自主練」

 近くの公園で自主練をしているらしくて、わたしはそこに向かうことにした。



 

 雪華は近くの公園で自主練を始めていた。

 唯一バスケのゴールが置いてある場所で、昔から使っていたんだよね。

「あ、お姉ちゃん。入試、お疲れ様~」

「うん! めちゃくちゃ緊張したよ、面接試験」

 そして、そのまま家に帰ることにした。

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