SSSお菓子パーティー買物者選抜戦道中ッッッ!


 謎のカットインも入り、召喚して用意していた馬に出来立ての馬車を括り付けて、早速街に三人で買い出しに行くこととなった。


 私は御者席に座り手綱を握る。


 今日の洋服は相沢さんチョイスで、動きやすい服装でまとめられていて特にハーフパンツが最高だと相沢さんは泣いていた。生足をすりすりしたいと言っていたがその前に逃げ出せてよかったとつくづく思う。


「フィフィオさんは街は初めてですか?」


「りょ、領主さま! え、えっとですね」


 わたわたと慌てながら彼女は身振り手振りで説明しようとしている気配が読み取れる。


「落ち着いて良いですよ。私よりもお姉さんですから、普通に話してくださって大丈夫です」


 多分中学生くらいだと思うが、俺の見た目は三五じゃなくて六から八歳位だからそう説明しても問題ないだろう。


「わ、分かりました」


 フィフィオはふうと息を整え、ゆっくりと御者席に近づいて、俺の隣に座った。


「えっと、実は町は初めてなんです。でもそういう子は多いと思います」


「そうなんですか?」


「はい、『自然魔術研究組』のみんなは寮生活でしたから。その後、色々あって寮と学校を離れることになりましたけど……」


 苦笑いしながらフィフィオは頬をかく。


「魔術の実験が失敗した——とか?」


「ええ、実は……その通りです。かなり巨大な植物が生まれてしまって……今でも学校をそのものを取り込んで成長しています」


「それで新たな場所を求めて旅してたのですね」


「そうなんです、だから領主さまに住むところも全て受け入れて貰えて本当に感謝しています」


「みんなが安心して住めるなら嬉しいです。是非お菓子パーティーで楽しんでほしいです」


「ふふ、そうですね」


 フィフィオはお淑やかに笑う。


 そんなこんなでエリィを含めてどんな材料が必要だとか、何を作るかなどを話し込み、数時間後には一番近い街へと到着した。


「さてと——」


 俺は背中のくまさんリュックから、メモを取り出す。


『クッキー、ケーキ、チョコレート、おいしそうなら何でもいい。あとアイス』


「相沢さん、適当にメモってますね」


 他にも色々食べたいお菓子をリサーチしてきたと思ったけど、仕方ない、良い感じの食材を見つけたら買っていこう。


 俺たち三人は馬車を預けると、村っぽくなった村人の為、お菓子パーティーの素材集めに街へ繰り出すのだった。

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