蛍光灯

白ラムネ

短編

「坂田さん、突然すいません」


俺はお隣さんの高坂さんから蛍光灯を取り替えてくれないか?と頼まれていた。

彼女は一歳上でとても可愛い人だった。

この蛍光灯交換も下心が無いわけではない。


「いいんですよ、こういうときこそ男の仕事ですから」

「ありがとうございます」


俺は脚立に上り、彼女の部屋の蛍光灯をはめる。

まあ、これくらいスレンダーでスタイルの良い彼女なら彼氏の一人や二人いるんだろうなぁ.......。

俺はちょっと悔しくなりながら蛍光灯のカバーの部分をつけた。

そして脚立から降りようとした、そのときだった。


「坂田さん!!!!!」


足を滑らせて頭から落ちてしまった。

完全に俺の不注意だった。

彼女の悲鳴とともに意識を失う。


しばらくして俺は頭の痛みとともに目を覚ます。

高坂さんの顔が視界に入った。

彼女は泣きはらした表情で俺を見ていた。


「高、坂さん」

「坂田さん!目を覚ましたんですね、良かった.......」


彼女は安堵する。

俺も痛む頭を抑えながら微笑んだ。


「少し痛いけど大丈夫だよ、心配かけてごめんね」

「本当ですよ、あなたが死んじゃったら私の想いが伝えられないじゃないですか!?」


え、想い!?

俺は彼女の言葉に混乱する。


「高坂さん、それって.......」


彼女もやっと自身の言葉を理解したのか、みるみる顔が赤くなっていく。


「ななな、何でもないです!!!忘れてください、忘れてください!!!!!」


彼女は相当恥ずかしかったのか、外に出ていってしまった。


「マジかよ.........」


俺も顔の熱さが収まるまで動くことができなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

蛍光灯 白ラムネ @siroramune

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る