⑦アフリカオオコノハズク

愛しのパートナー

目覚めると身ぐるみを剥がされ、板の上に固定され動けなくなっていた。この奇妙な状況を作り出せる人物に心当たりがあった。

これは彼女しかいない。


「じょ...、助手、これはどういう事ですか?」


暗闇から薄ら笑いを浮かべる彼女が音もなく出てきた。


「もう...、本当に博士ったら...。

可愛いですね。顔も身体も...」


「どういうことか、理由を聞いてるんです」


「...前々から計画してたんですよ。

ちょうどアルパカから紅茶を博士が居ないときに貰ったので」


何か、不穏なモノを感じる。


「...私をこんな姿にして何をするつもりですか」


「ふふっ...、科学の実験なんてどうでしょう。博士、お好きでしょ?実験は」


ニヤニヤと助手は笑いながら言った。


「実験?い、一体何を...」


「博士のいまいる板には強力な電気の流れる棒を刺してあります。この板に強力な電気が流れるとどうなるでしょうか...」


「で、電気....、あっ!助手、や、やめ!!」


彼女は笑いながら、何かのスイッチを押した。

すると、バチッという音がした。


「あっ...!!熱いっ!!せ、背中がっ!!」


「電気が木に伝わると燃えるんですよ、知ってましたか?フフッ」


彼女は嬉しそうな表情を見せ、手で口元を隠して上品に笑った。


「あっあちぃっ!!!あついのですっ!!やめてくださいぃぃぃ!!!!」


「こんなもので涙を流すんですか、滑稽ですね」


彼女は電流を止めた。


「じょ、助手...、どうして...、こ、こんなことを...」


「普段生意気な貴女が、涙を浮かべて奇声を発するという光景を見て愉快にならない人間がいないとお思いですか?」


「はぁ...、も、もういい加減...、やめてください...」


「じゃあ...、次の実験いきましょうか」


「やめろと言ってるでしょう!!背中だって痛いのにっ!!それでもお前は私の助手ですか!?」


「...もちろん。だから少し静かにしてください。そのお喋り口を凍らせましょうか」


助手はケースから白い煙がもくもくと上がる

ドライアイスを取り出した。


「いっ、いやっ!!」


「大丈夫ですよ、ちょっとヒリヒリするだけですっ!」


助手は博士の開けた僅かな口の隙間からドライアイスの欠片を口に突っ込んだ。


「ん゛ぁ!?」


ドライアイスは博士の唇と歯にくっついてしまい、痛みが襲う。


凍ってしまい、上手く会話が出来ない。


「ぁぁぁぁ....っ、ああああぁぁ!!」


痛さのせいでボロボロと涙が溢れる。

皮膚が剥がれて死んでしまうのではないか。

そんな不安に襲われた。


「ずいぶん痛い思いをしてそうですね...。

ふふふっ...」


彼女が嬉しそうに口を緩めるのが憎らしい。


「そうだ、この極限状態でもっと貴女を追い詰めたらどうなるんでしょうか?」


「ぁぁぁぁああああああ!!!」


助手は博士の嫌いな芋虫を素肌に乗せたのだ。

素肌をはって...


「あああああっ!!!あああああああっ!!」


必死になって絶叫する。


「おや、博士、息苦しそうですね。ドライアイスを外しましょうか」


助手はくっついてる氷を無理矢理外した。


「あ゛あ゛あ゛あ゛ああああああッッ!!!!」


喉の奥が潰れそうな程の絶叫だった。

唇の皮膚が剥がれ血が滲み気持ち悪い。


「いやああぁぁぁぁぁあああああ.....」


さらに、たった1匹の芋虫が追い討ちをかけ、博士は失神してしまった。


「おやおや...、こんなに出てしまって...」


助手は博士の頬を優しく撫でた。


「大丈夫です、貴女を死なせはしません。

貴女が死んでしまったら、私の愛するパートナーが居なくなってしまいますから...」


そして、撫でた頬にキスをして


「また、その泣いた顔を見せてください...

本当に可愛いんですから...」


と、呟いた。


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