総括 初秋の朝


「平八郎さん、見て。あの雲、怪獣に見えない?」

「見えないこともないな」

「ねっ、フフフッ」


 オレは彼女の笑顔が、大好きだった。

 訳の分からない理屈や奇異な行動に、心配は尽きない。きっと本人よりもオレの方が、心配していると思う。


 だからこそ、オレにとって彼女は、


「ドジで、マヌケで、変態で、陽気で無垢な、クリーム色のハット帽子とロングスカートが似合う、女神様」


といったところなのだ。


 もし――オレがあの日、あの場所に行かなかったら、彼女と出会うことはなかっただろう。いくつもの奇跡は重なり、オレたちは出会った。それは偶然なのか、運命なのだろうか。

 いや、あの日あの場所で、出会わなくても、別な時と場所で出会っていたかもしれない。今はそう思う。



 眼前には、怪獣消えて、雲一つない青空が広がっていた。


 オレは右手で、彼女の左手をそっと握った。


 そして、思った。


 彼女はオレの――


「ソウルメイト」かもしれない。







おわり

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オレの彼女はスピ系女子です! 山本夢子 @yumeko_000

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